軍事的緊張感が高まる?

  日米安保条約を背景に日本の軍備増強が進んでいる。国家財政の赤字が続き、国際公約となってる財政収支均衡が絶望的な状況の中、第二次安倍内閣になってから毎年軍事予算は増加を続けている。安保条約だけでなく、最近は対北朝鮮との軍事的緊張をことあるごとに取り上げて、国防予算の増額を正当化しているように見える。

  よくよく考えてみれば、日本と北朝鮮との個別2国間で軍事的緊張感を生み出す要素はないように見える。今、日本と北朝鮮との緊張感は、米国と北朝鮮の緊張感に米国の同盟国だからということで、そこに日本が巻き込まれているような感じである。巻き込まれているのか、自ら首を突っ込んでいるのかは定かではないが。

  日米安保条約は抑止力になっている、として憲法の解釈を変更したり、それに伴う安保法制を強行したりしてきた。しかし、日本にとっては日米安保が対北朝鮮との緊張感を生み出し、その緊張感を利用して軍備の増強を図っている。防衛大臣は米国に行った折に、北朝鮮が様々な種類の弾道ミサイル発射を続けていることを取り上げ、陸上イージスなど新しいミサイル防衛の装備導入を表明している。来年度防衛予算も今年より増額されることはほぼ間違いあるまい。どこまで防衛費を膨らませるつもりなんだろうか。

  安倍首相はよく外国に行き、外交に力を入れているように見えるが、中後進国に対しては、対中国を意識しての各種援助のばら撒きのように見える。欧州主要国に行った時には何を言ってきたのか、何をしてきたのかよくわからない。ロシアに対しては非常に懇意にしているように見えるが、結局ロシアから見ればうまく利用できる国の範疇だろう。米国に対してはただひたすら追随していくという姿勢。近隣の中国韓国にはまだ距離を縮められないでいる。

  日本は世界の中で何をしたいのか、どういう立ち位置になろうとしているのか。日本には独自の立場の外交というのがないように見える。それが今の対北朝鮮の軍事的緊張感を生み出しているのではないだろうか。

広島、長崎の原爆の日

 長崎原爆の日の9日、長崎市長が平和祈念式典の平和宣言で、核兵器禁止条約の交渉にすら参加しない政府の姿勢に被爆地は到底理解できないと述べた。一方安倍首相は式典では、核兵器のない世界を実現するために国際社会を主導していくと述べ、条約には触れなかったものの、記者会見では、署名、批准を行う考えはない、と明言した。その後被爆者代表と対面した時には、あなたはどこの国の総理ですか、と問われたが、何も答えなかったという。

  いつものことだが、安倍さんは自分だけが発言できる場面では持論を展開するが、議論や意見が対立する場面では相手の言うことをまともに聞こうとしない。今回のこの場面でも、何故条約交渉に参加しなかったのかを説明することなく、異なる意見に対しては無視で応じた。

  これに先立つ広島原爆の日の6日の広島での平和記念式典では、広島市長は直接的な政府批判の言葉はなかったが、日本政府に、核兵器禁止条約の締結促進を目指し、本気で取り組んで頂きたいと述べた。一方安倍さんは式典では条約には触れず、式典後の記者会見で、条約に署名、批准はしない、と明言した。

  長崎での被爆者の問いに対し、個別に返答は必要ないとは思うが、日本政府としては米国の核の傘に守られているという立場上、核兵器禁止条約の交渉に参加できないというなら、広島市長、長崎市長被爆者代表などを交えた場を設け、そこで条約に対する考え方を説明しても良いだろう。外交は政府の専権事項だから、口を挟むことはまかりならない、というなら、そう言えば良い。被爆地である広島、長崎を代表する市長が式典の平和宣言の中で、共に核兵器禁止条約の締結促進を訴えていることを、もう少し重く受け止めてもいいのではないかと思う。

いつものせりふ

  内閣改造が行われた。改造の目的はよくわからないが、国民の視線をちょっと変えたかったのだろう。しかし、内閣改造後の記者会見を見て、既視感で、やはりまだ続いているんだ、と強く感じさせられた。会見の内容は相変わらず、さまざまな問題により不信を招いたので反省しお詫びしたい、というもの。ここで頭を下げたものの、それで幕引きとはいかないだろう。ここは頭を下げる場面ではない。本気で反省しているなら疑惑解明に向けて努力すべきである。頭を下げるのはすべて解明された時である。口先だけ、パフォーマンスだけ、はもう聞き飽きたし見飽きた。いい加減に止めて行動で示してほしい。

  というのも、早速、陸上自衛隊日報問題での閉会中審査で自民党は稲田前防衛大臣の出席を拒否した。これに対して安倍さんは、これまたいつものように、国会の要請があれば誠実に対応すると思う、と国会を使って自分の責任を回避しようとしている。その気があるなら、自民党総裁なのだから、国会対策委員長に指示を出せばいいだけ。憲法改正では党内にいろいろ指示を出しているのだから。都合が悪くなると首相と党総裁を使い分けて逃げるのは、政治家としての資質に問題ありだろう。

  しかしちょっと残念なのは、内閣改造後の内閣支持率が2,3の調査結果によると10%近く上がったという。何で目先を変えようというだけの内閣改造で支持率が上がるのか不思議である。安倍さんの目論見のように、時が経てば国民は忘れてくれる、とならなければ良いのだが。

安倍首相の責任感は

  森友学園の籠池元理事長夫妻が、開悦を目指していた小学校建設に絡んで国の補助金を詐取した、として大阪地検特捜部に逮捕された。籠池夫妻の逮捕は、国有地の不当な廉価払下げ疑惑の副産物的に発覚した、国や大阪府への補助金不正申請の内、国への申請にかかるものである。これはこれできちんと裁かれねばならないが、本筋ではない。大阪地検特捜部は別件で国有地の不当な値引きをした、として財務省職員らに対する背任容疑の告発を受理している。籠池夫妻に対する取り調べの中でも、こちらの背任容疑の方もしっかり調べて欲しいものでる。

  一方国会の方はといえば、南スーダンPKOの日報問題で、陸上自衛隊の部隊が作成した日報が、廃棄したとされた後で陸自内で見つかったことに対し、稲田防衛大臣への説明があったか、隠蔽を了承したか、などの疑惑が生じ、特別防衛監察が行われていた。しかし、疑惑の解明は曖昧のまま稲田さんは大臣を引責辞任する、ということになった。ここで、すでに閉会中審査を開く、と合意していた自民党が辞任した稲田さんを国会に呼ぶわけにはいかない、と言い出した。何なんだこれは。またしても疑惑隠しか。稲田さんを呼ばずに閉会中審査を開いて何をしようというのか。

  森友学園疑惑では安倍首相夫人昭恵さん、加計学園疑惑では安倍さんが腹心の友という学園理事長の加計孝太郎さん、陸上自衛隊の日報問題では安倍さんのご贔屓の稲田さん。何れも疑惑の中心人物でありながら、安倍さんに極めて近いという理由で国会には呼ばない、徹底して守る、という一貫した姿勢を見せた。

  安倍さんが何回も丁寧に説明する、と言っても口先だけなのは、この一線を絶対に越えさせない、という強い意志が働いているからだろう。国会でこの点を問われても、国会の要請があれば応じる、とこれまた何回も言っている。しかし、国対レベルで拒否するから間違っても先に進むことはない、と承知の上である。

  本当に疑惑解明に向けて本気で取り組み、国民に向けて丁寧に説明するというなら、これら中心人物を国会に呼ぶとか、官僚機構の中をきちんと調査するとか、これまで避けてきたことをやることだろう。しかし、それをやれば、疑惑が事実に変わる可能性が大であるから避けてきたのだろう。

  国会も閉会しているし、臨時国会も今は開く気はないようだし、安倍さん以下自民党諸氏はこのままほとぼりが冷めるのを待つ、という姿勢のようだ。時間が経てば国民は忘れるので支持率も回復するだろう位に思っているのだろう。安倍政権や自民党が何をしているのか、このことを決して忘れてはいけない。

安倍首相の丁寧な説明とは

  国会の閉会中審査が終わった。予想通りというか、疑惑は何ら解明されることなく終わった。安倍首相が内閣支持率の急落に反応して、急遽、閉会中審査を開くことになったが、積極的に疑惑を解明しようとする姿勢からは程遠かった。

  今回の閉会中審査だけではなく、これまでの経緯を見ても、官邸側が官僚機構内部まで統制し、都合の悪い文書の出し入れは徹底して管理していると思った方が自然だろう。たまたま統制が効かなかった文科省から複数の文書が流出してしまったが、どこの省庁でもこの程度の文書は存在すると思った方が自然だろう。これに対し、流出してしまった文書は、担当大臣が、後から担当者の考えも織り込んで作成した文書であり、正確な記録とは言えない、と釈明している。メモにして共有フォルダ―に残した文書が、打ち合わせと自分の考えを混在させた不正確な文書とは思えない。

  一方で、官僚側の文書は統制できても、外部の文書は統制できない。最悪は、外部の議事録に対し、あれは思い込みにより作成された文書で、自分の記憶と違うから正しくない。自分の方はメモを取っていたが、廃棄してしまった。と、文書で残っている議事録より自分の記憶が正しい、と言い張る大臣まで出現。

  これまでの加計問題の流れを見ていると、森友問題の時と違い複数の文書が流出したし、外部にも存在した。文科省内の文書、今治市の文書、日本獣医師会の文書などを全体としてみると、事実は相変わらず不明ながら、今回の国家戦略特区の政策決定過程で加計学園が選ばれるような方向で動いていた、という点では一致している。誰かが恣意的に「加計ありき」と思わせようと思っても、文科省内だけならともかく、外部まで話を合わせるように仕向けることはできない。

  疑惑解明は、政策決定過程を透明化し、決定の正当性を訴えるしかない。その一方で、加計理事長の証人喚問をなぜ拒んでいるのかわからないが、本人から、例えば、なぜ申請前から大きなリスクを負って校舎の建設を始めたのか、など本人にしか分からないことを聞いてみる、というのも疑惑解明の一助となるだろう。

  結局、安倍さんは丁寧に説明するとは言ったものの、丁寧だったのは口調だけで、説明内容は相変わらず自分たちで作ったストーリーからはみ出すことなく、説得力のない口先だけの説明に終始した。しかも、政府与党は十分説明したから、加計問題については今後閉会中審査も臨時国会も開かない、と証人喚問を含めすべて拒否することを決めたという。これで幕引きとは到底納得できないのだが。

首相の本気度は?

  国会の閉会中審査で揉めている。先日、文科、内閣両委員会の連合審査会ということで、前川前文科事務次官参考人として招致し、加計学園問題に関する閉会中審査が行われた。しかし、安倍首相が出席しないこともあり、消化不良のまま終わってしまった。それで、野党側から安倍首相の出席の下での予算委員会の閉会中審査か、臨時国会を開くように、という要求が出ていた。

  当初、自民党は拒否していたが、一転、安倍さんが、出席して説明する、と言いだし急遽、予算委員会の閉会中審査に応じることになった。支持率の低下に抗しきれなくなった、というのが実情だろう。「国会のことは国会でお決めいただく」と言っていた安倍さんが、自分で説明する、ということで閉会中審査を決めたという形をとったのだろう。

  体裁を整えたまでは良かったが、自民党から開催条件が出されている。日程は衆院参院合わせて1日。しかも、質問時間は与野党50:50の割合。野党の証人喚問要請は拒否、参考人招致も一部拒否。というものである。質問時間については、過去自民党の野党時代も含めて、ほぼ与党20:野党80で、今回も野党の主張は従来通りである。これに対し、自民党の50:50は明らかに野党の質問時間の短縮を狙ってものである。

  安倍さんが本気で自分で説明責任を果たす必要性を認めたなら、堂々と、条件など付けず、十分な時間を取り、証人喚問にも応じ、自らの正当性を十分にアピールしたらいいと思うのだが。何故そうしないのか不思議である。なんとか逃げよう、はぐらかそう、言質をとられないようにしよう、などと姑息なことばかり考えるから、疑惑が疑惑を呼ぶ疑惑の連鎖が起こっている。

  安倍さんが本気で疑惑などない、手続きに一点の曇りもない、というなら、口でそう言うだけはなく、裏付けが必要なのである。疑惑解明に本気で取り組む姿勢がないなら、やはり疑惑は疑惑ではなく、事実だと思うしかない。

内閣支持率が急落

  報道各社の安倍内閣支持率が出た。前回に続いて続落である。安倍内閣の支持率は、ラフにみて(以下同様)3月頃までは概ね50%半ばから後半であったが続落し、30%半ばから前半に落ち込んだ。この間不支持率も上昇し、今回は40%後半から50%になり、支持不支持が逆転した。

  不支持率の上昇は、森友学園問題、加計学園問題の真相解明に対する政府の消極的な対応、共謀罪法案の参議院での強権的手法の影響によるものだろう。同時に質問された、加計学園問題に対する姿勢で「評価しない」が70%以上いることや、不支持の理由の第一が、首相が信用できない、というものである。

  以前の支持率が高い時から、支持する理由のほぼ半数は「他より良さそう」というものだった。その層が不支持に回ったかと思ったが、今回も支持する理由の半数近くはまたも「他より良さそう」である。つまり、支持の仕方に拠らず、現在の安倍政権の姿勢全体に対し批判的な見方が増え、支持が離れたということだろう。

  ただ、同時に政党支持率の調査も行っている。ここで注目すべきは、自民党の支持率は下がったのだが、野党の支持率も下がっているのである。つまり、今回の世論調査では、現在の野党では受け皿になり得ない、受け皿としては不十分と思われている、ということになる。また、東京都議会議員選挙で分かるように、しっかりした受け皿が出来れば、現在の安倍政権など簡単に飛んでしまう、ということである。

  各野党に、どうすれば受け皿と認めてもらえるのか、目先のことではなく、ここを好機ととらえ、もっと長期的視点からきちんと考えてほしいと思う。各野党は安倍内閣の支持率が下がって喜んでいる場合ではないのである。国民の選択肢として十分に耐えられるように、徹底した議論をして信頼感を醸成して欲しいと思う。