安倍政権の不正の闇

  安倍政権の不正の闇は相当に深そうだ。モリカケ問題では、結局政治家は何の責任も取らず、官僚が勝手にやったこと、として見かけ上の処分をして終わりにしてしまった。その官僚たちも、安倍首相を守った見返りとして、それぞれが立派な大企業の上層部に上手く嵌め込んでもらって、優雅な余生が保証された。

  現在進行中の厚労省の不正統計問題では、当初は官僚による違法な手段による統計調査をした、として早々に官僚の処分を発表し、殆ど実態調査もせずに終わりにしようとした。ところが、調べていくと、実際は上手くいかなかったアベノミクスとやらを、上手くいっているように見せかけるための不正処理であることが発覚してしまった。

  ここでもモリカケの時と同じように、活躍したのは首相秘書官である。首相秘書官が官僚に圧力をかけ、官僚が実行する。その後も、国会での質疑においても、首相の指示ではなく、自分の考えで厚労省幹部に問題意識という形で話をした、と。この辺り構図は全く同じである。

  その間、安倍さんは重く責任を感じているとか、徹底的に調査検証する、再発防止に全力を尽くす、などの言葉を並べる。これも同じで、その場凌ぎの、取り敢えずこう言っておこうという域を出ない。責任を感じている、と言ったからといって、責任を取るわけではない。徹底的に調査すると言っても、国会審議に応じるわけでもないし、第三者に調査を任せることもしないで、これも取り敢えず言っておくというだけ。再発防止に全力を尽くすと言っても、原因も調べずにどうやって再発防止策を立てるというのか。或いは、口には出せないが、原因は分かっているから、対策は立てられる、ということか。

  明らかになった部分だけでも、官邸がらみでいろいろやっていることが分かる。安倍政権が、目に見えないところで何をやっているのか、わかったものではない。この主たる原因は内閣人事局にあるだろう。高級官僚の人事を一手に握り、この人事権を使って陰に陽に圧力をかけ、官僚を使って合法、非合法混ぜて目的を遂げる。

  発覚したのは、モリカケの時は、国有地の払い下げ価格が他は公開されているのに、1件だけ非公開になっているのを新聞記者が不審に思い、深堀りして背後の大きな不正を暴きだした。今回は、18年1月発表の毎月勤労統計調査の数値が急に大幅に伸びたのを、外部エコノミストや学者から不審に思われ、事実解明を迫られた。しかし、厚労省は殆ど調査もせず、追及をかわす為か、一部官僚を早々に処分して幕引きを図った。

  安倍政権にとってはモリカケの教訓を生かしたのだろう。追及されたら拙い。細工したのがばれる、と慌てて拙速な官僚処分をしたのだろう。ここでもモリカケの時と同様責任は全て官僚。政治家に責任は無い、という立場を早々に明確に示した。

  ちょっとしたきっかけで背後の大きな不正がばれているが、その陰で、バレていない不正がどれだけあるのだろうか。もともと不正なんかない、という安倍さんのお友達の言葉が虚しく響くだけになっている。こんなことを続けていたら、実態と資料との乖離が大きくなり、日本ってどういう国なんだ、ということになるだろう。まともな国に戻してほしいが、まだその手立ては残っているのだろうか。

安倍政治が真正の悪夢だろう

  安倍首相が、前回の政権交代を、悪夢のような民主党政権が誕生した、あの時代に戻すわけにはいかない、と自民党大会で言い放ったそうだ。これが日本の総理大臣の言葉かと思うと情けなくなる。全く品位の欠片らも無い。党内とはいえ、こんなことを言って恥ずかしくないのだろうか。安倍さんには恥ずかしさ、という概念が無いように思われる。

  安倍さんにとっては今がやりたい放題の天国気分だろう。しかし、国民にとっては、目に見えないように日本という国がどんどん蝕まれ、顕在化した時にはこんな筈ではなかった、というような悪夢の真最中である。

  安倍さんの政治手法は、誰が考えるのか、国民受けするスローガンを打ち出し、やってくれそうな期待を持たせる。到底実現しないことがバレそうになると、次なるスローガンを打ち出し、前のことは後ろへ下げ、新しいスローガンを前面に出す。これを繰り返す。.

その間に、真に自分がやりたいことは、人を入れ替えたり記録の改竄をしてでも実現しようとする。また、自分の都合が悪い事柄については、人を替えたり、データ改竄したり、計算方法を変更したりして隠蔽しようとする。

  議論が出来ない安倍さんにとしては、議論をしない方法でしか問題解決できないのだろう。安倍さんが意見を異にする立場の者をひたすら攻撃するのは、ひとつは自身の支持母体へのアピールもあるかと思うが、もうひとつは、安倍さんの幼児性でもあるのだろう。それは、自分の弱いところを付かれると、ムキになって相手を攻撃するというところに現れる。それは、議席数を背景にした力を頼りに、反撃されても数で抑え込める、と強気でいられるからだろう。

  こうしたことは、外交にもよく表れている。対米では、トランプさんに尻尾を振って、忠誠を尽くしているのは、相手の力が上で、力勝負が出来ない。相手は取引上手でもあり、安倍さんは議論も出来ない。もう言いなりである。対ロでは、プーチンさんに何とかこっちを向いて欲しいと、あの手この手のご機嫌取り。平和条約の為なら返還してもらうのは四島の内二島で結構です。もしかしたら、二島も主権までとは言わない、なんて言っているかも。対中も正面から批判的なことは言えない。南シナ海問題でも、せいぜい外から一応言ってみる位の感じでしか言えていない。

  外交だから、こちらの言い分だけというわけにはいかない、というかもしれない。確かに、圧倒的な数の力を持っている国内とは違い、強い相手には言いたいことも言えないような感すら漂わせている。しかし一方で、弱いとみた相手には言いたい放題である。

  米国もロシアも日本国内のように、数の力は使えないし、議論もせず言葉で攻撃すればもう相手にしてくれなくなる。しかし、韓国については、自身の支持層向けということもあろうが、国内同様の強気な態度で言いたい放題。敢えて大きな外交問題となるように煽っている感すらある。

言論封じに出た安倍政権

  首相官邸官房長官の記者会見での東京新聞の望月記者の質問を、事実誤認に基づく質問であり、また度重なる問題行為である、として、事実を踏まえた質問をするように、と官邸記者クラブに申し入れたという。第二次安倍政権になってから、安倍首相や閣僚が陰に陽に報道機関に圧力をかけ、自由な報道が阻害されてきている。今回は文書により、堂々と言論封じをしてきた。

  記者会見での質問は、事実関係が分らないから質問するので、記者も事実関係が確認されていれば質問しない。それを質問は事実に基づけ、というのでは質問するな、発表事実の確認だけにしろ、ということで、大本営発表に異を唱えるな、ということだろう。

  こうした申し入れに対し、記者クラブの反応は不明であるが、労働組合である新聞労連が抗議声明を発表した。なぜ記者クラブが抗議しないのか不思議なところではある。もっとも、官邸の意に沿わない質問をして、菅さんが機嫌を損ね、記者会見を打ち切ったりすると、政権寄り記者が、質問の機会を奪われた、と当該記者に抗議をすることもあったという。もしかして、こうした事情で、記者クラブの中で一致した声明が出せない、ということでなければ良いのだが。

  そもそも、菅さんの記者会見は何の為なのかと思っていた。テレビニュースなどの映像だけなので不正確かもしれないが、記者の質問に対し、答えをはぐらかすような話をし、最後に、「いずれにしても・・・」に続けて、質問の回答というより自説を述べておしまいにする。或いは、質問に対し、「それは当たらない」というだけで回答しない、というようなやり取りが目につく。

  今回の申し入れ文書の菅さんの記者会見を、報道のビデオで見た。記者の質問は、辺野古の土砂投入現場では、赤土が広がっている、との前置きで、投入土砂の質の問題として、届け出の土砂構成と違って赤土が多く入っているのではないか。政府として、どんな土砂の混合割合の土砂なのか調べないのか、という内容の質問をした。これに対し、菅さんは法令に基づいて実施している、とだけ回答している。これに対し、調べたかどうか、を繰り返し質問し、菅さんも同じ回答をしていた。この間、数度にわたって、簡潔に、と官邸側の司会役が割って入っていた。

  写真やビデオ見る限り、投入された土砂の周りの海は明らかに濁っている。程度問題だ、というならまだ分かるが、事実誤認とは思えない。それより問題は、菅さんが質問の答をしないことだろう。調べたかどうか聞かれているのだから、調べてないならそう言えばいいのに、誤魔化そうとしているのは明らか。調べていない、と答えた時の次の質問が怖かったのだろう。こうしたやり取りを今後はしたくない、という意思の表れが今回の文書になったと思われる。

  記者会見は、他の記者も出来レースのような記者会見ではなく、この記者のような真剣な記者会見をするのが、報道機関としての務めだろう。質問に対しては、キチンと質問の答えを得るまで頑張るのが最低限の務めだろう。突っ込み不足の、なあなあの記者会見ばかりやっているから政権に足元を見られ、言論封じのような文書を出されても、記者クラブとしてまともな抗議も出来ない。

  こんなことを許していては、増々まともな報道が出来ない状況が生まれ、安倍政権の思う壺に嵌っていくことになってしまう。世界の中の報道の自由度ランクが、どんどん下がっている日本の現状を何とか変えなければ、やがて、「1984年」(ジョージ・オーウェル著)の世界になりかねない。

  報道機関には、権力を監視するという使命とプライドを持って、まともな国になるように頑張ってもらいたいものだ。

現実無視の安倍政権

  厚生労働省の統計不正に対する安倍政権の対応が、安倍政権の本質を浮き彫りにしている。不正の発覚以降、安倍政権は不正の影響を矮小化するとともに、早期幕引きに腐心している。これはモリカケ問題の時と同様の対応で、問題解明をしようという姿勢は全く無い。むしろ、その影響は軽微なのだからこれ以上問題視する必要はない、と後ろ向きの対応に終始している。

  その一方で、アベノミクスの効果で、連合の調査でもわかる通り賃金は上昇している、と強弁している。厚労省に対する野党のヒアリングで、担当者は18年の実質賃金は実態に合わせて修正すれば、前年比マイナスになるだろう、と言っている。この認識の差は何なんだ。

  また、景気回復は過去最長を記録しそうだ、という発表されている。それにも拘らず市井の反応は、景気が良いという実感はない、という回答が圧倒的である。この発表数字と実感との差がどこからきているのか。

  連合は労働組合の連合体だから、野党から発表数字に疑いがあるという攻撃は受けない、との判断で連合のデータを持ち出してきたのかもしれないが、労働者に対する連合の組織率は推定12、3%程度である。しかもその構成は大企業が中心であり、連合のデータが労働者全体を表している、と強弁するのはどう考えても無理がある。

  安倍政権は自分たちに都合の良いデータのみを採用し、客観的なデータを軽んじているのだろう。政府の基幹統計に不正が発覚しても、影響はない、と言って、徹底的に不正を質すとか、重大事という認識に欠けるのは、これらを適正に利用していないことの証左だろう。

  データに基づく政策立案・実施をせず、自分たちの保身に都合の良いような政策を行い、結果に合うような都合の良いデータを探し出して政策の正当性を主張するのでは、これからも一般庶民が望むような政治は行われることはないだろう。

  今現実に日本国内がどんな状況にあり、どんな問題が起こっているのか、安倍政権では認識できていないだろう。安倍さんがいくら連合の調査で、5年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げが継続している、と強調しても、それがどうした、である。そんな一部の都合の良いデータでは議論にもならない。現状を把握するには、全体を見渡せる客観的なデータが必要だろう。それが国の基幹統計なのではないか。

  その基幹統計に対して不正が行われた。当然徹底的な原因究明と、出来る限りのデータの修復。責任者の処罰、再発防止などが図られるべきだろう。厚労省内の調査委員会での原因究明などではなく、全くの第三者委員会などで原因を究明しないと、対策も何も出来ないだろう。データの修復は、元データを収集した都道府県の協力も得なければならないだろう。安倍政権はどこまでやる気があるのだろうか。

  真相究明に対して後ろ向きな安倍首相には、相変わらずきちんと議論をしようという姿勢が見えない。統計に対する不正というのがどれ程重大なことなのか、安倍さんには認識出来ていない様である。相変わらず政権を守るためだけに汲々とし、野党の追求をかわすことしか考えていない様である。国会はまだ始まったばかりである。安倍さんが野党の質問に対し、どこまでまともに質問に答えるか。それが問題だ。一国の総理大臣が、議員の質問にきちんと答えない日本の国会。総理大臣がきちんと議論が出来ない日本の国会。これが民主主義の国なのだろうか。

統計不正と安倍首相

  国会で、毎月勤労統計不正に伴い、賃金統計がいい加減なものであったことが確認された。当然のことながら、賃金が上昇しているからアベノミクスは上手くいっている、という根拠も崩れた筈だが。昨年の伸び率も再計算すれば伸び率はマイナスではないか、と試算されている。

  ところが安倍さんは、雇用、所得環境は着実に改善している、5年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げが継続している、と言い張り、判断を変更する気はないと言っている。賃金統計が無い中で、何を根拠に言っているのかと思いきや、労働組合の組織である連合が作成したデータによる、という。

  いつものことであるが、都合の良いデータだけを取りだして自分を正当化する論法である。それでは、それ以前の連合のデータはどうなっているのか、きちんと調べたのだろうな、更に、今後は連合のデータを政策決定の判断材料に切り替えるということで良いのだな、と突っ込みたくなる。

  賃金統計は国の基幹統計である。政策立案の基礎にもなっている筈である。その統計と連合のデータを同列に扱い、自身の正当性の根拠とするとは。何が重要で何を判断材料とすべきかの判断もつかない程の思考力・判断力のなさ。これが日本の総理大臣とは全く情けない限りである。

  統計の不正がどれ程の影響力があるのか全く認識していないようだ。本来なら賃金統計が使えないから、賃金に関する判断は現時点ではできない、と言うことになるはずだ。都合の良いデータだけを抽出して、それを判断材料として政策立案・決定し、実行しているから、安倍さんの認識が現状に合わなくなっているのだろう。

  きちんとした現状認識が出来ていないから、と言うより、現状認識をしようとしないからまともな政治が出来ない。自分の手柄と言えそうなデータだけを集めて自己満足し、不都合なデータは切り捨てて見ようとしない。これでまともな政治が出来るわけがない。

  モリカケ問題のデータの改ざん問題で、全ての責任を官僚に押し付け、政治家は被害者面をして幕引きを図った。だから、ここからは何も学ばなかった。それが現在の安倍政権の姿なのだろう。今回も官僚の不手際だから、政治家に責任は無い。政治家は再発防止策をしっかり立てるように口先で指示する立場、データの後処理については官僚が適当にやるだろう、では済まされない。

  他の政府統計はどうなのかと言うと、調査の結果、全部で56ある基幹統計の内22統計で間違いがあったという。この惨状についてどう考えるのか。安倍さんが都合よく使ってきたデータも、これらのいい加減なデータによって作られてきたことだろう。良いとこ取りの都合の良いデータも、今や全く使い物にならないのだ。

  政府の基幹統計の信頼が失われたら、対外的にも国家の信用を失うことになるのだ。口先だけで重く受け止める、原因究明・再発防止に取り組みたい、と言ったところで信頼回復できるものではない。総理大臣自らが、基幹統計が無くても他のデータで代用できるから、政策決定に影響はない、などと言っては、総理大臣が先頭に立って国家の信頼を毀損していることになる。

  政府統計が如何に大事なものか、政治を司るものとしては初歩の初歩と言えるだろう。そんなこともわからずに政権を担っているとは。海図を持たずに航海に出ているのと同じだろう。安倍内閣の特徴となった、政治家は誰も責任を取らない、ではなく、政府内の不始末は最終的には政治家が責任を取る、それをはっきりさせる。それが国の内外に対する信頼回復の第一歩ではないか。

国家的危機の厚労省不正問題

  厚生労働省による毎月勤労統計の不正問題。一体日本の官僚はどうなってしまったのだろう。かつては、政治は三流だが官僚組織は一流、とか言われたようだが、近頃ではその面影は無い。

  相変わらず政治は三流のままのようだが、官僚組織もこの不正問題に対して、厚生労働省が設置した特別監察委員会は、組織的な関与や隠蔽は認められなかった、と結論付けた中間報告書を出した。これで実質調査は終了させようとしている。

  特別監察委員会の調査では不正するに至った経緯や動機が全く明らかにされておらず、組織的な関与や隠蔽などについて事実の解明明らかにされていない。結果、隠蔽があったとはいえない、などと結論付けている。

  中間報告素に基づき、現職4人を減給、元職員11人は減給相当とし自主返納を求める、元職員5人は戒告相当とする処分を発表した。

  まさかこれで幕引き、と言うことではなかろう。政治家の処分は現職の大臣、副大臣政務官計4人の4カ月分の給与の自主返納のみ。財務省の隠蔽よりは少しはまし、とはいうものの、現職の政治家は殆ど関与していない、と言うか関与できる時間は無かったであろう。それ以前の政治家はどうするのか。頬被りでは済まされないだろう。

  中間報告書は、あくまで中間で、最終報告書で更に詳細が解明されなければなるまい。毎月勤労統計は、国の基幹統計と位置付けられているという。それ程重要な統計を、担当者が勝手に調査方法を変更していた、と言うのだろうか。しかも、調査マニュアルにも不正な手法を容認する記述があったという。一回二回の話ではないのだ。十数年続けているのだ。この間、担当者部署では何人が調査に関わっていたのか。

  更に、総務省の統計委員会が調査手法の点検を決める前には、このマニュアルの記述を削除していたという。とても担当者だけで出来ることではないだろう。

  昨年6月には、神奈川、愛知、大阪の3府県に対し対象事業所を抽出調査に切り替える、と通知しないまま従来より1割程減らしたリストを示していた。この通知は課長級の「政策統括官付参事官」名だった。が、昨年12月に問題が発覚したため、3府県は抽出調査にしなかったという。これでも組織的に認識されてはいなかった、というのだろうか。

  真剣に調査したのだろうが、国民が知りたいことや、問題の本質についての調査は全く不十分だろ。間もなく国会が開かれるので、その前に蓋をしてしまおうという魂胆が見えてしまう。だが、こんなことで済ませるわけにはいかないだろう

  2018年1月からは調査結果の修正をする、という新たな不正も加わっている。組織的な関与無くして、これほどのことが出来るであろうか。それほど組織的は下位にいる職員が、自分に都合の良いように仕事内容を変えられる組織なのだろうか。

  国内外に対する国家の信頼を揺るがし、国民にもこれだけ多大な直接的影響が及んでいる今回の事件、モリカケ問題での全責任を官僚に被せ、政治家は知らん顔を決め込んだ財務省の対応を、もう一度繰り返すわけにはいかないだろう。

  徹底的な真相解明をするとともに、歴代担当大臣以下の政治家も相応の責任からは逃げられないだろう。知らなかったでは済まされない。如何なる事情があろうとも、省内での職務上の不正、不始末の最終責任は担当大臣にある、と言うことを肝に銘じて欲しい。大臣という肩書は飾りではなく、責任者として、何かあったら責任を取る、という立場なのである。

原発を手放せない安倍政権

  自民党政権とりわけ安倍政権にとって原子力は相当大きな利権なのだろう。安倍政権は、福島の原発事故を経て原発優先の方向を変えるのかと思いきや、日本国内での原発建設は暫く見送るが、政府主導で輸出に力を入れている。安倍さんが成長戦略の柱と位置付け、可能性のありそうな外国に自ら売り込みに走り回ったり、政府系金融機関からの融資をつけたりと、最優遇の扱いである。

  しかし、東芝三菱重工、日立の日本の原発3社は、それぞれ、東芝は周知のとおり、米国での新規原発建設を受注しようと、米国の原発会社を買収したものの、建設費の高騰で大きな負債を抱えることとなり、東芝本体が倒産寸前の状態に追い込まれた。三菱重工は、安倍首相の肝いりの官民連合によるトルコの原発計画に加わったものの、安全対策費がかさみ、総事業費が当初想定の2倍以上になる見通しとなり、計画を断念することとなった。この件はまだ計画段階だったので、三菱重工に実損は出なかったようだ。

  更に、この程日立は、英国で進めていた原発の建設計画の凍結を正式に決めた。これも事業費が安全対策の強化により、当初予定額の1.5倍に膨らむことになり、事業化のめどが立たなくなったためである。この為日立は、原発子会社の減損を含む設備の減損処理で3000億円の損失を計上することとなった。

  すでにベトナムリトアニア、台湾向けの計画が頓挫し、安倍政権が打ち出した原発輸出による成長戦略は全て失敗に終わることとなった。

  以上のように、海外での原発建設費用高騰による対原発状況を目にしても、まだ原発輸出の政策は進めていくと、世耕経産大臣は記者会見で述べた。どの国へ輸出しようとしているのか知らないが、トルコや英国で建設費用の高騰で断念した原発の高コストを容認してまで建設しようとする国がどれだけあるのだろうか。

  欧州では既に原発から再生可能エネルギーへと舵を切り、研究開発が進んでいる。発電コストも下がり、従来からの発電と併用して実用化を進めている。安倍政権が原発に拘っている間に、我が国は再生可能エネルギーの分野で周回遅れの状態になっている。この状態が続けば中国や韓国の後塵を拝しているIT通信分野と同様、確実にエネルギー後進国になっていくだろう。

  原発神話が東日本大震災で綻んだと思ったら、先の神話は想定外の事態が起こって事故に繋がった。事故を教訓に十分な対策を取っているので、二度と事故は起こらない。と、新たなる原発神話を作っている。

  海外では福島を教訓に、事故は起こるもの、を前提に十分すぎるほどの安全対策を重ねている。日本はどうなのだろう。安倍政権が言う世界一厳しい新規制基準に合格しているから安全だと各地の原発を再稼働させている。しかし、原子力規制委員会では、基準を満たしたからと言って絶対的な安全性が確保できるわけではない、と言っているのだ。

  規制基準の合格は安全の保証ではないし、これからの工事予定を含んでいたりするのに再稼働させている。また、避難計画も作られていないのにないのに、避難計画は地元が作成するものと、政権はその部分には目をつぶり再稼働を進めている。再稼働するかどうかは個別企業の問題と逃げるだろうが、政府の方針有ってのものだろう。何かと責任を取らない今の政権は、何が起こってもどこかに責任転嫁するつもりなのだろう。

  原発事故が起こったら、原子力規制委員会が再稼働を認めたから、というのは目に見えている。無責任集団の内閣では何が起こっても不思議ではないかもしれない。