自分のための衆議院解散?

  安倍首相が9月28日に召集される臨時国会の冒頭で衆議院解散するという。何のための解散かは分からない。今選挙をして国民の声を聴かなければならないような重要な問題は生じていない。にも拘らず衆議院を解散して選挙をするというのは、党利党略というより、安倍さんの私利私欲の為、ということだろう。いずれ、いわゆる選挙の大義というものが発表されるのだろうが、それは結局本音隠しの、選挙で票を集めるためのばらまき政策か、たんなるリップサービスに過ぎないだろう。

  安倍さんが今選挙をしたい理由は、巷間言われているように、一に民進党や小池新党の体制が整わない内の選挙なら少なくとも負はない。二に臨時国会の審議が始まる前に解散してしまえば、通常国会で時間切れになり、その後は休会中審査だけで実質審議拒否してきた、森友問題・加計問題・自衛隊日報問題での追求から逃れられる。更に現議員の残り任期が1年少々の期間内という理由で、安倍さんが目指す憲法改正に慎重姿勢の公明党の方針転換を図る。更に、この選挙で負けなければ、来秋の自民党総裁再選の道筋ができる、ということまで考えているかもしれない。

  いずれにしても、今回の解散の動機は自らの保身と政権の延命という極めて不純なものであり、国政を私利私欲のために使うという点においては、森友・加計問題と同質である。結局のところ安倍さんには憲法改正しか頭になく、目的の為には手段を選ばず、という極めて短絡的な考えしかないのだろうか。利用できるものは何でも利用する、という視点で国政を取り仕切るようでは、政治家としてどうなのだろう。

  更に、疑惑が表沙汰になると、丁寧に説明すると何回言ったことか。しかし丁寧な説明は一度たりとも聞いたことがない。言いっ放しでその後は知らん顔でやり過ごす。国民は舐められたものである。しかし、舐められても反発できない国民だと見抜かれてしまっているようでもある。疑惑隠しの衆議院解散で何事もなかったかのように済ましてしまって良いのだろうか。

安倍首相の外交とは

  北朝鮮の動きが最近激しくなっている。ICBMの発射。これに対し国連安保理が、経済制裁決議を採択。この後、中距離弾道ミサイルの発射。水爆とみられる核実験の実施。これに対し国連安保理が新たな経済制裁決議を採択。これに反発し、更なる中距離弾道ミサイルの発射、と続いている。

  日本は米国、韓国と歩調を合わせ、経済制裁決議が採択されるように積極的に動いている。日本は対北朝鮮では米国主導の経済制裁以外に対応は持ち合わせていないようだ。しかし、断交や制裁が相手国の方針変更につながった例はほとんどないという。制裁がだめなら武力攻撃か、となるが、今や武力行使は全面戦争につながりかねない。残るは、話し合いによる外交努力ということになる。

  情勢が緊迫している中、決まっていた外交日程とはいえ、経済をテコに安全保障面で結びつきを強める目的もあり、インドを訪問した。経済面では、新幹線の売り込みも不調、原発の輸出も進展なし。その一方で、北朝鮮による核・ミサイル開発を阻止するため、国連安全保障理事会の制裁決議履行が重要だとの認識で一致した、という。核不拡散条約(NPT)非加盟のインドは実質的に核保有国である。いわば、北朝鮮と同じ立場なのである。そのインドに北朝鮮制裁の同調を求めるとは。

  また、経済制裁に消極的なロシアに対しては、プーチン大統領と親しいと思っているからだろうか、ロシア極東で開かれた経済会議の後の首脳会談で、厳しい追加制裁に同調するよう協力を求めた。プーチン大統領からは良い返事はもらえなかったが、同じく制裁に消極的な中国に対しては安倍さんの積極的な動きは見られない。

  安倍外交の考え方に一貫性があるのだろうか。というより、どういう外交をしようとしているのかわからない。わかるのは、ただ米国の言うことには追随している。米国が急に方針変更したら、おそらく付いていけず、取り残されることになるのだろう。その場しのぎではなく、日本の外交はこうなのだ、というものを見せて欲しいものである。

日本の将来は

  政府は、公務員の定年の段階的な延長の検討に入ったという。菅官房長官は、少子高齢化が進行する中、高齢者の就業促進は今後の社会のあり方を考えるうえで極めて重要、と強調した。少子高齢化労働力人口が減る中、働ける人材を確保するとともに、年金支給年齢の引き上げに対応する狙いがある、という。

  一方、 認可保育施設に入れない子どもたち(待機児童)が3年連続で増加した。認可施設に入れなかったのに数字に含まれない「隠れ待機児童」も前年から増えた。政府は今年度末までに待機児童をゼロにする目標を掲げてきたが、6月に目標達成時期を20年度末まで3年間先延ばしし、この間に22万人分の受け皿を追加で増やす新計画を打ち出している。 待機児童の増加は、一方で女性活躍社会をうたっているのだから当然予想されたことである。しかし、スローガンは掲げたものの、中身は無かったというのを裏付けるような事態である。

  少子化対策担当大臣はいるものの、多くの担当の兼務の内の一つにすぎず、本気の取り組みとは思えない。しかし、少子高齢化は現実問題として喫緊且つ長期的な対応を迫られている筈である。定年延長や女性労働力の活用という今の少子高齢化対策はあくまでも当面の対症療法にすぎず、根本的な対策ではない。暫くは凌げるだろが、その間に本気で少子化対策を考えないと、その先にはひたすら少子高齢化が進む社会が待っている。少子化に歯止めがかかり、増加に向かうには相当の時間を要する。

  子供を産み育てし易い社会を作る。若年層の増加が進めば、高齢化も落ち着き、特別な対策は必要なくなると思われるが、今のままではお先真っ暗、という感じである。現在の安倍政権に限らないが、自分が首相の時さえうまくいけばいい。その影響が後年にどう出ようとそこまでは気にかけない。そういう政策ばかりでは、日本という国の将来的な存続に黄信号がともる。ということを真剣に考えてほしい。

軍事的緊張感が高まる?

  日米安保条約を背景に日本の軍備増強が進んでいる。国家財政の赤字が続き、国際公約となってる財政収支均衡が絶望的な状況の中、第二次安倍内閣になってから毎年軍事予算は増加を続けている。安保条約だけでなく、最近は対北朝鮮との軍事的緊張をことあるごとに取り上げて、国防予算の増額を正当化しているように見える。

  よくよく考えてみれば、日本と北朝鮮との個別2国間で軍事的緊張感を生み出す要素はないように見える。今、日本と北朝鮮との緊張感は、米国と北朝鮮の緊張感に米国の同盟国だからということで、そこに日本が巻き込まれているような感じである。巻き込まれているのか、自ら首を突っ込んでいるのかは定かではないが。

  日米安保条約は抑止力になっている、として憲法の解釈を変更したり、それに伴う安保法制を強行したりしてきた。しかし、日本にとっては日米安保が対北朝鮮との緊張感を生み出し、その緊張感を利用して軍備の増強を図っている。防衛大臣は米国に行った折に、北朝鮮が様々な種類の弾道ミサイル発射を続けていることを取り上げ、陸上イージスなど新しいミサイル防衛の装備導入を表明している。外交努力をするのではなく、ただ軍備の増強に走っているように見える。来年度防衛予算も今年より増額されることはほぼ間違いあるまい。どこまで防衛費を膨らませるつもりなんだろうか。

  安倍首相はよく外国に行き、外交に力を入れているように見えるが、発展途上国に対しては、対中国を意識しての各種援助のばら撒きをしてくるように見える。欧州主要国に行った時には何を言ってきたのか、何をしてきたのかよくわからない。ロシアに対しては非常に懇意にしているように見えるが、結局ロシアから見ればうまく利用できる国の範疇だろう。米国に対してはただひたすら追随していくという姿勢。近隣の中国韓国にはまだ距離を縮められないでいる。

  日本は世界の中で何をしたいのか、どういう立ち位置になろうとしているのか。日本には独自の立場の外交というのがないように見える。それが今の対北朝鮮の軍事的緊張感を生み出しているのではないだろうか。

広島、長崎の原爆の日

 長崎原爆の日の9日、長崎市長が平和祈念式典の平和宣言で、核兵器禁止条約の交渉にすら参加しない政府の姿勢に被爆地は到底理解できないと述べた。一方安倍首相は式典では、核兵器のない世界を実現するために国際社会を主導していくと述べ、条約には触れなかったものの、記者会見では、署名、批准を行う考えはない、と明言した。その後被爆者代表と対面した時には、あなたはどこの国の総理ですか、と問われたが、何も答えなかったという。

  いつものことだが、安倍さんは自分だけが発言できる場面では持論を展開するが、議論や意見が対立する場面では相手の言うことをまともに聞こうとしない。今回のこの場面でも、何故条約交渉に参加しなかったのかを説明することなく、異なる意見に対しては無視で応じた。

  これに先立つ広島原爆の日の6日の広島での平和記念式典では、広島市長は直接的な政府批判の言葉はなかったが、日本政府に、核兵器禁止条約の締結促進を目指し、本気で取り組んで頂きたいと述べた。一方安倍さんは式典では条約には触れず、式典後の記者会見で、条約に署名、批准はしない、と明言した。

  長崎での被爆者の問いに対し、個別に返答は必要ないとは思うが、日本政府としては米国の核の傘に守られているという立場上、核兵器禁止条約の交渉に参加できないというなら、広島市長、長崎市長被爆者代表などを交えた場を設け、そこで条約に対する考え方を説明しても良いだろう。外交は政府の専権事項だから、口を挟むことはまかりならない、というなら、そう言えば良い。被爆地である広島、長崎を代表する市長が式典の平和宣言の中で、共に核兵器禁止条約の締結促進を訴えていることを、もう少し重く受け止めてもいいのではないかと思う。

いつものせりふ

  内閣改造が行われた。改造の目的はよくわからないが、国民の視線をちょっと変えたかったのだろう。しかし、内閣改造後の記者会見を見て、既視感で、やはりまだ続いているんだ、と強く感じさせられた。会見の内容は相変わらず、さまざまな問題により不信を招いたので反省しお詫びしたい、というもの。ここで頭を下げたものの、それで幕引きとはいかないだろう。ここは頭を下げる場面ではない。本気で反省しているなら疑惑解明に向けて努力すべきである。頭を下げるのはすべて解明された時である。口先だけ、パフォーマンスだけ、はもう聞き飽きたし見飽きた。いい加減に止めて行動で示してほしい。

  というのも、早速、陸上自衛隊日報問題での閉会中審査で自民党は稲田前防衛大臣の出席を拒否した。これに対して安倍さんは、これまたいつものように、国会の要請があれば誠実に対応すると思う、と国会を使って自分の責任を回避しようとしている。その気があるなら、自民党総裁なのだから、国会対策委員長に指示を出せばいいだけ。憲法改正では党内にいろいろ指示を出しているのだから。都合が悪くなると首相と党総裁を使い分けて逃げるのは、政治家としての資質に問題ありだろう。

  しかしちょっと残念なのは、内閣改造後の内閣支持率が2,3の調査結果によると10%近く上がったという。何で目先を変えようというだけの内閣改造で支持率が上がるのか不思議である。安倍さんの目論見のように、時が経てば国民は忘れてくれる、とならなければ良いのだが。

安倍首相の責任感は

  森友学園の籠池元理事長夫妻が、開悦を目指していた小学校建設に絡んで国の補助金を詐取した、として大阪地検特捜部に逮捕された。籠池夫妻の逮捕は、国有地の不当な廉価払下げ疑惑の副産物的に発覚した、国や大阪府への補助金不正申請の内、国への申請にかかるものである。これはこれできちんと裁かれねばならないが、本筋ではない。大阪地検特捜部は別件で国有地の不当な値引きをした、として財務省職員らに対する背任容疑の告発を受理している。籠池夫妻に対する取り調べの中でも、こちらの背任容疑の方もしっかり調べて欲しいものでる。

  一方国会の方はといえば、南スーダンPKOの日報問題で、陸上自衛隊の部隊が作成した日報が、廃棄したとされた後で陸自内で見つかったことに対し、稲田防衛大臣への説明があったか、隠蔽を了承したか、などの疑惑が生じ、特別防衛監察が行われていた。しかし、疑惑の解明は曖昧のまま稲田さんは大臣を引責辞任する、ということになった。ここで、すでに閉会中審査を開く、と合意していた自民党が辞任した稲田さんを国会に呼ぶわけにはいかない、と言い出した。何なんだこれは。またしても疑惑隠しか。稲田さんを呼ばずに閉会中審査を開いて何をしようというのか。

  森友学園疑惑では安倍首相夫人昭恵さん、加計学園疑惑では安倍さんが腹心の友という学園理事長の加計孝太郎さん、陸上自衛隊の日報問題では安倍さんのご贔屓の稲田さん。何れも疑惑の中心人物でありながら、安倍さんに極めて近いという理由で国会には呼ばない、徹底して守る、という一貫した姿勢を見せた。

  安倍さんが何回も丁寧に説明する、と言っても口先だけなのは、この一線を絶対に越えさせない、という強い意志が働いているからだろう。国会でこの点を問われても、国会の要請があれば応じる、とこれまた何回も言っている。しかし、国対レベルで拒否するから間違っても先に進むことはない、と承知の上である。

  本当に疑惑解明に向けて本気で取り組み、国民に向けて丁寧に説明するというなら、これら中心人物を国会に呼ぶとか、官僚機構の中をきちんと調査するとか、これまで避けてきたことをやることだろう。しかし、それをやれば、疑惑が事実に変わる可能性が大であるから避けてきたのだろう。

  国会も閉会しているし、臨時国会も今は開く気はないようだし、安倍さん以下自民党諸氏はこのままほとぼりが冷めるのを待つ、という姿勢のようだ。時間が経てば国民は忘れるので支持率も回復するだろう位に思っているのだろう。安倍政権や自民党が何をしているのか、このことを決して忘れてはいけない。