日本って一体何なんだ

  何としてもトランプ米大統領を新天皇国賓第一号にしたかった安倍首相。天皇陛下即位はスーパーボールの100倍の行事だ、と説得してトランプ大統領来日を実現させた。安倍さんの天皇陛下即位に関する政治利用は、改元の日の設定に始まって以降ここで前半のピークに持っていこうということか。

  そもそも天皇陛下即位とスーパーボールを比較すること自体おかしいだろう。そこまでして安倍さんはトランプさんとの緊密2ショットを国内にアピールし、自身の支持拡大に利用したいということなのだろうか。

  更に、トランプさんを大相撲夏場所の千秋楽に招待し、観戦2ショットをテレビで大々的に流すのだろう。最大限のテレビ露出である。取組み終了後には優勝力士にトランプさんが何らかのトロフィーを授与するという。まさか、そこに安倍さんが付き添うことはないとは思うが。

  だがここにも問題が。トランプさん側はマス席にイスを置いての観戦を希望しているという。これを受けてか、日本相撲協会夏場所千秋楽の1階正面マス席全席を確保していて、現在のところ千秋楽の1階正面マス席は販売されていないという。トランプ夫妻やシークレットサービス米大統領警護隊)など警備関係者の為に席を用意する必要があるため、それに充てるのだろう。

  トランプさん側は幕内の後半数番だけを観戦する予定という。そのため、幕内前半ごろまでは管内あちこちに監視の目をひからせながら、正面マス席の一角は空席のまま進行し、その後警備担当者らが周辺を取り囲んだうえ、更に場内監視を徹底するのだろう。そんな異様なムードの中で、常連さんや相撲愛好家を締めだして進行の大相撲。

  大相撲の伝統も格式も秩序もあったものではない。安倍官邸はトランプさんの為なら何でもする、という姿勢を明確にした。絵にかいたようなポチ外交。そこまで媚びを売らなきゃならないんですか、安倍さん。 日本人として情けないこと甚だしい。もう何をかいわんやである。

これが安倍政治か

  この夏に参議院議員選挙が行われる。これに合わせて衆議院を解散し、衆参同日選挙にしようとする動きがあるという。これには安倍首相の意志が入っていると思われる。先の萩生田幹事長代行の発言にあるように、10月に実施予定の消費税増税を先送りしたい安倍さんが、前回の増税延期時のように増税延期の是非を国民に問う、という勝手な理屈で衆議院を解散するのではないか、というものである。

  消費税の増税は当然のことながら国民受けは良くない。更に、増税による経済の大幅な落ち込みも心配の種なのだろう。アベノミクスによって経済は好調に推移している、としている安倍さんにとって、経済指標の数字が落ち込むというのは、支持率に悪影響を及ぼし何とか避けたい。

  ここに安倍政治の特徴がある。安倍さんはアベノミクスによる好調な経済指標で高い支持率を得ている。高い支持率に拠って何としても衆参両院で3分の2の議席を維持し憲法改正に持っていきたい、というのが安倍政治である。これは国家国民為の政治ではなく、安倍さんと安倍さんの祖父の夢実現の為の政治になってしまっている。

  自分に有利と思えば使えるものは何でも使うが、不利だと思えば将来的にやっておかなければならないことでもやらない。目先自分にとって有利かどうかが政策決定の判断なので、将来像を持たない安倍さんは国民に国の将来像を語ることが出来ない。美しい国とか言っているが、その具体的中身はない。

  将来に向けて取り組まなければならない諸問題を避けていて日本がどうなるのか。美しい国などと観念的な綺麗ごとを言っている場合ではない。アベノミクスとか言って超低金利と財政ファイナンスの為に日銀に大量の国債を購入させ、証券市場では大量の株式やJリートを購入させている。

  安倍さんは日銀の判断だというだろうが、首相就任当初には日銀法改正までちらつかせて大幅な金融緩和を迫り、更に総裁を自分の言うことを聞く財務省財務官だった黒田さんに交代させた。その後も政策委員の任期満了交代期毎に自分の意に沿う委員に差し替えてきた。正に安倍さんの政策実行部隊そのものである。

  日銀が保有する大量の国債、株式、Jリートをどうするのか。日銀が売りに出したりしたら、これ等は暴落間違いなしだろう。売らないまでも、購入を止めるとアナウンスしただけでも市場は混乱するだろう。

  また、安倍さんが使い放題の国家予算。入るを量って出るを制す、が財政の基本と思うが、財政には全く頓着無しである。安倍さんはアベノミクスで大幅に税収が増えたと胸を張るが、赤字国債への依存体質は変わっていない。税収が増えてもその分を国の内外の歓心を買う為に使ってしまっては何の為の税収増なのか。財政再建の為の消費税増税も国民受けが悪いと延期を繰り返し、本気で財政再建しようという姿は見えない。現在のGDPの2倍にも及ぶ莫大な日本国の累積債務をどうするつもりなのか。将来につけ回ししておけばいいは許されない。

  地道な努力よりぱっと見の良い政策を打ち出し、やってます感を出して支持率維持を目指すのも特徴。毎年のようにスローガンを出してきたが、それが実行されたという検証はしてこなかった。さすがにもう続けられないと分かったか、本来、増加する社会保障の安定財源確保を目的に増税する筈であったが、その一部を財源として子育て支援で幼児教育の無償化、低所得者向けに高等教育無償化を打ち出した。

  消費税増税の目的をすり替え、国民受けすると思った政策を新規に実施しようというのだろう。だがちょっと待って。質より優先させた幼児教育の無償化の前に待機児童対策はどうなったのか。待機児童対策も同時に行うというが、その本気度も疑わしい。既に待機児童対策の2017年度末目標の待機児童ゼロは達成できず、2020年度末まで延期されている。これも達成できるかどうか。

  地道な努力でやり遂げる政策より、実効性よりすぐ実行できる受け狙いの政策を優先させる。高等教育無償化より、現行の実質学生ローンではないかと言われる奨学生の奨学金負債の問題をどうするのか。ここにも見た目が大事な政策が出てくる。

  安倍さんは実質的に国家国民の為に何をしてきたのだろうか。都合の良い部分はどんどん取り込み、都合の悪い部分は将来負担へ。自分が政権を担っているときは良いが、その後は知らん顔。ツケを負わされる将来世代の負担はどんどん膨らんでいる。こんな自分勝手な政治家は単なる政治屋に過ぎない。早く政治から身を引いてもらわないと、やがて日本沈没となってしまいそう。

これが安倍外交か

  安倍首相は5月6日夜突然、北朝鮮金正恩朝鮮労働党委員長との日朝首脳会談について、前提条件なしに実現を模索すると語った。これは、トランプ米大統領と電話協議した後に記者団に語ったものである。

  安倍さんは、かつて北朝鮮のミサイル発射にJ-アラートを発動し、避難訓練まで実施させて危機を煽っていた。更に北朝鮮の核実験やミサイル発射を取り上げ国難突破だ、と衆議院解散までしてきたのである。そして、核・ミサイル開発を放棄させるために具体的行動を取るまで最大限の圧力をかけていく、と北朝鮮に対する圧力一辺倒を国際社会に働きかけてきた。

  それが、昨年6月、トランプ米大統領金正恩委員長の親書を受け取り、米朝首脳会談の開催を明言。そして、この親書を素晴らしい書簡だと評価し、最大限の圧力という言葉はもう使いたくない、とコメントし、今後は対話と外交努力を重ねた上で、北朝鮮の非核化に取り組むという姿勢に転じた。

  安倍さんとしてはまさしく梯子を外された感じだろう。そして、これまでの圧力一辺倒の強気はどこへやら、急遽、拉致問題を早期に解決するため、北朝鮮と直接向き合い、話し合いたい、と発言。それ以降は、(日朝首脳会談を)行う以上は拉致問題の解決に資するものにしなければいけない、と繰り返してきた。

  そこにはもう日本国の独自の外交基本方針というものは存在せず、ひたすら米国に追従しているだけである。北朝鮮向けに威勢のいいことを言ってきたが、それも米国が言っていることをオウム返しに言っていただけだった。

  北朝鮮と向き合い話し合うと言っても、そこにはまだ、拉致問題の解決に資する会談でなければならない、という前提条件があった。だが、今回はその前提条件も外すという。トランプさんとの電話会談で何を言われたかわからないが、米国の考えに合わせるべく方針の変更をしたものと思われる。

  安倍さんがいきなり金委員長と会いたいといっても、北朝鮮拉致問題は解決済みの立場を崩すことは無く、逆に日朝平壌宣言の履行を迫られることになるだろう。宣言には,国交正常化の早期実現だけでなく、植民地支配の謝罪や,国交正常化後の北朝鮮に対する経済協力の実施が含まれている。安倍さんにそこまでの話し合いの覚悟があるのか。今回の安倍さんの発言は、対米追従と同時に選挙対策として利用できる。会えさえすれば成果となり、それが票につながる、という単純発想のような気がするがどうだろう。

  北朝鮮は、5月4日に続いて9日にも日本海に向けて飛翔体を発射した。飛翔体とはいうものの、実態は短距離弾道ミサイルだろう。4日分は日米韓共に調査中としているが、9日分については米国が弾道ミサイルと発表すると、待ってましたと日本も弾道ミサイルと確認したと発表した。弾道ミサイルなら明らかに国連の安保理制裁決議違反となるので、北朝鮮を刺激しないように当初は弾道ミサイルの表現を避けたのだろう。

    日朝首脳会談の早期実現に前のめりになっている安倍さんは、直ちに日本の安全保障に影響を与えるような事態ではない、と黙認し、無条件での会談の方針は変更なしとした。

  こうした交渉相手に対する交渉条件の引き下げは対ロシアと共通している。何でもいいから外交的成果が欲しい安倍さんは、ロシアに対して四島返還をひっこめ、二島返還に舵を切った。国内的にもロシアを刺激しないように、北方四島はわが国固有の領土、という表現を封印した。外交は国対国の話である。安倍さんは簡単にハードルを下げるが、安倍さん以降の政権は下げたハードルを引き継ぐことになるのだ。相手国にとっては、交渉相手が自国の主張を引き下げた、という事実が残る。

  安倍外交とは、自国の主張を通すというより、ただ米国追従と、交渉相手に下手に出て、相手国のご機嫌を損なわないように気を使って何がしかの譲歩を得たい、というひたすら低姿勢に徹することを基本としているようだ。国内向けの強気な姿勢はどこへやら。典型的な内弁慶の政治スタイルである。

  それでなくも低くなりつつある日本の存在感が、ますます低くなるばかりではある。

誰の為の改憲なのか

  憲法記念日日本会議系の改憲集会に、安倍首相が改憲の毎度の決意表明のビデオメッセージを送ったという。2020年に新しい憲法を施行したいという。この人は、誰の為に、何の為に憲法を改正しようとしているのだろう。少なくとも日本国民のことを考えての改憲ではなさそうだ。

  今やなりふり構わず、ただひたすら憲法改正に執着しているとしか見えない。憲法改正の為なら何でもやる、という感じだ。よくある、発展途上国でクーデターなどで政権を奪取した大統領が、自分に都合の良いように憲法を改正する、というのとよく似ている。誰の為でもない、自分の為の改憲である。自分の夢を果たすための改憲なんて、国民にとっては無用の長物である。

  確かに現時点では自民党内の多数派は、安倍さんが自分で勝手に作った改憲4項目を自民党案として担いでいるようだ。しかし、長年議論をしてまとめた自民党改憲草案はどうしたのか。改憲草案をまとめた時に、優先順位をつけて改憲に取り組むとなっていたのか。単に安倍さんが、何とか9条だけでも変えたいという一心で、改正に賛意を得る為の要望と9条を組み合わせたものだろう。

  本質的な議論をせず、単にどうしたら改憲勢力を増やせるか、どうしたら改憲手続きを先に進められるか、国民的議論など全く無視し、何だかよくわからないままで良いから、国民投票まで持っていきたい。(いづれも30%台半ばから後半と思われる)安倍政権の支持率と自民党の支持率の高さで何とか過半数は得られるのではないか、との甘い見通しの下で、国民投票を実施したいようだ。

  国民的議論が無い中で、ムードだけで行われる国民投票が、結果如何にかかわらず、その後どんな悪影響を残すか、英国のEU離脱の混乱を見ればわかるだろう。もっとも、国内が分断されようと、安倍さんは意に介さないだろう。国内が混乱しようが、自分さえよければいい。負けても,憲法改正国民投票は実施した、自分の名前が歴史に残るという望みは果たせた、と満足感に浸れるのだろう。

  憲法改正自己実現の目的にするというのは、総理大臣の立場にあるもの考えることではないだろう。少なくとも、現行憲法を軽んじ、あたかも、自分で改正するまでの仮の憲法だ、というような感覚の総理大臣がすることではない。自分が気に入らないから、気の済むようにする、という感覚の人物が作る憲法では、支持層以外の国民にとっては到底許容しがたいものになるだろう。それでも良しとする為政者って一体何なんだろう。

  憲法改正は、国民から改憲の機運が持ち上がり、国民的議論が行われるようになって、初めて改正に向かう、ということではないのだろうか。

事実をしっかり見ない安倍首相

  欧米歴訪中の安倍首相が、EU首脳との協議の場で世界貿易機関WTO)へ問題意識を提起したが、取り合ってもらえなかったようだ。自分の都合優先でしか物事を見ない視野の狭さを世界に露呈するのは、初めてではない。

  2016年の伊勢志摩G7で安倍さんは、予定されていた消費増税実施を延期する条件を作ろうと、G7首脳会議の場で、今は正にリーマンショック前夜だと、説明資料まで作って財政政策などの強化を呼びかけた。しかし、他の6か国からは全く取り合ってもらえなかった。それでも一人、記者会見で持論を展開した。これには他の6首脳は、国内的な都合があるのでしょう、と冷めた目で見ていた。

  今回は、韓国による東日本大震災時の原発事故の被災地などからの水産物の全面禁輸を事実上容認した世界貿易機関WTO)の上級審の判断を批判し、WTO改革の必要性を訴えたのである。しかし、WTOの1次審査で日本が勝った後には、日本政府は、韓国は結果を重く受け止めなければならない、と言っていた。ところが最終判断で日本が逆転敗訴すると、日本政府は敗訴と認めないだけでなく、WTOは改革する必要がある、と言い出した。

  ここで問題は二つ。日本に有利な判断をしないと、WTOはおかしい、という感覚。もう一つは、WTOの判断を正確に国内に伝えず、正確な問題点の把握をしようとしない。従って、的確な対応策を講じられない、という問題である。

  日本政府はこの、韓国の禁輸を容認する、というWTOの判断を、簡潔に伝えたとか、わかりやすく言い換えた、と内容を国内向けに意訳して説明している。従来から、政府説明は外国語の資料や見解などで意訳=違訳して発表する、との指摘があるが、今回もまた意訳のようだ。だから、なかなか事実がつかみにくい。

  今回はどうなのか。「日本産食品の科学的安全性は認められた」と政府は主張しているが、そうした文言は報告書にはない、という。記者会見で菅官房長官は、文言が無いとは認めていないが、一連の経過から、自然な解釈だと思っている、との見解を示している。つまり、そうしたことは書かれていなかった。

  今回の件は、そもそも、日本側が当初から食品の科学的安全性についての訴えを起こしていない。単に輸入規制の不当な差別や貿易制限で訴えているのである。真正面から食品の科学的安全性を訴えていれば、また違った結論になったかもしれない。

  他の諸政策でもそうであるが、自分たちの都合の良いデータだけを取り出したり、都合よいように曲解したり、都合の悪いデータを改竄したりして、政権の政策の正当性を主張してきているので、いろいろな齟齬が出来ているのだろう。都合の悪い部分があっても見ないようにしている為、的確な対応策が打てず、その結果、政権の認識と実態のずれがますます広がっているのではないか。謙虚に現実を見つめ直し、間違っている部分は素直に認め、修正するようにしなければ、ますます日本という国が駄目になっていくことになる。

  このままでは日本沈没となりかねない。

安倍外交って何なの

  外務省から外交青書を公表した。外交が得意と言われる安倍首相の外交の実態を如実に表している。今年の青書には、昨年まであった、北方四島は日本に帰属する、との表現がなくなった。また、北朝鮮に対しては、核・ミサイル問題は重大かつ差し迫った脅威であり、圧力を最大限まで高めていく、拉致問題も国際社会の圧力をテコとして早期解決を迫る、と強調していたが、今年はこうした記述が無くなった。また、韓国については、慰安婦問題や元徴用工らの韓国大法院(最高裁)判決を取り上げ、日韓関係は非常に厳しい状況に直面したとし、昨年の日韓関係を未来志向の新時代へと発展させていく、などの表現はなくなった。

  河野外相は記者会見で、外交について総合的に勘案して書いている、政府の法的立場に変わりがない、と強調した。だが、明らかに昨年からの外交姿勢の変調を見てとれる。北方四島の表記については、プーチン露大統領の機嫌を損ねないように配慮し、日本に帰属しているという主張を放棄した。実際の日露交渉の場でも四島は日本の領土の主張は放棄し、二島返還に変えているのだろう。

  北朝鮮については、安倍さんとしては交渉の糸口すらつかめない現状で、あまり北朝鮮を刺激したくないのだろう。また、トランプ米大統領北朝鮮と会談継続を模索している段階で、同盟国として日本が刺激すれば悪影響があるかもしれない、と配慮したのかもしれない。

  一方、韓国については、竹島問題を抱えてはいるもの、韓国に実効支配され、日本から手を出せない状況が続いている。勿論、交渉など考えてもいない韓国相手で遠慮は要らない。

  本格的な外交交渉になると、ひたすら低姿勢に、相手におもねり、譲歩してください、というとても外交と言えるような姿勢ではない。外交交渉の場では、堂々と自国の立場を主張し、譲歩できるところは譲歩しても、妥協点を見出すべくしっかり主張はするべきと思うが。交渉になりそうもない韓国に対しては、これだけ強い態度で臨めるのであれば、交渉する場のある相手にもしっかり主張しなければ、交渉相手に足元を見られるのが落ちだろう。

  外交って、米国に対しては、ただひたすら言いなりになり、付き従っていれば良いわけではないだろう。また、主権が絡むような重要な交渉では、相手におもねったり、機嫌を取ったりしていれば良いわけでもないだろう。開発途上国などには経済援助をばら撒き、いわゆる先進国に行っては、首脳と何かと連携を緊密にすることで一致した、など何をしに行ったのかよくわからない外国訪問で、訪問国が歴代最多だと誇ってみたところで、それが何なんだ、である。

消費税増税をしたくない安倍首相

  自民党の萩生田幹事長代行が18日のインターネット番組で消費税増税延期の可能性について語ったという。6月に日銀短観の景況感次第で、延期も有り得る。延期する場合には衆院解散で、国民の信を問うことになるだろう、といった内容のようだ。更に、衆参両院の憲法審査会に関しても、新年号になったら、キャンペーンを張って、少々強引でも憲法審査を進めたい、と語ったという。

  政府内や与野党、財界からの反応を見たからもう用は済んだということか、19日になって、政治家としての私個人の見解であり、政府とは話をしていないし、異議を唱えたものでもない、と釈明した。

  そんな見え透いた釈明で済む話ではないだろう。安倍首相にとっての重要事項である消費税の延期や衆院解散、更に、改憲の進め方にまで、現在の状況に口を挟んだ格好だ。萩生田さんと言えば安倍さんの最側近と言える人物だ。その人物が、いくら思い上がっているとはいえ、安倍さんの了解なしに突然、安倍さんにとって言いたけどなかなか口にできない重要事項について、如何に個人的見解とはいえ外部発信など出来る筈はない。

  明らかに安倍さんからの示唆があったと思われる。選挙に影響する消費税増税はしたくないが、さすがに3度目の増税延期では、それこそ決められない政治家と言われかねない。更に、増税できるような景気状況ではないとなれば、アベノミクスはどうなった、と言われるだろう。

  増税しても、しなくても、批判を受けることになる。正に、前門の虎後門の狼。増税に進むかどうか、国家国民にとってではなく、自分にとってどちらが都合がよいか、の判断材料が欲しいところだろう。そこで萩生田さんを使った観測気球という見方もある。

  そうだろうか。安倍さんにとって、消費税を増税するか延期するかなど、どうでも良いことだろう。本音は、萩生田さんが語った二つ目の憲法改正の方だろう。安倍さんの関心事は、憲法改正するためには、どうするのが良いのか、に尽きるだろう。その為に今向き合っている消費税増税をどう利用するか。

  増税と延期をチラつかせ、増税に傾きつつある世の中の空気に、ちょっと待ったをかけたい、ということではないのか。今の空気は、政策も増税前提のものがあるし、民間も増税に向けて準備を進めている。これを、いきなり全て白紙に戻すとなれば抵抗も大きいものがあるだろう。それを、延期も有り得る、という見解を出して、少しでも立ち止まらせたい、ということではないか。

  安倍さんの本音は、不人気の消費税増税はしたくない。憲法改正に多少でも悪影響の出そうなことは一切したくないのだ。もし消費税増税をすることに決めるとすれば、それは夏の参院選になるべく影響の出ない時期を選んで表明するのだろう。極端な話、参院選後まで引き延ばすかもしれない。

  少なくとも、国家国民の為という視点で決めて欲しいのだが、それを期待しても安倍さんには無理だろう。