誰のための政治

  この国の為政者は誰のための政治を行っているのだろう。総理大臣は、自らの名を冠した経済政策を、その中身はともかく実行し、悦に入っている。また、都合の良い統計数字だけを強調し、その結果を誇っている。しかし、一般庶民の生活は一向に良くならない。確かに年金資金や日銀まで動員して株高を演じ、その資産効果で国民の数パーセント部分はかなり良くなっているのだろう。それが、数字全体を押し上げているから、なんだか全体が底上げされているような数字になるのだろう。

  また、この国には面白い政策がある。ふるさと納税という名の高額納税者、つまり高収入者優遇税制である。制度の内容はここでは省略するが、この制度に使われる返礼品に要する費用が、振替納税額の4割にもなるという。つまり、本来税金として使われるべき金額の4割が、個人の懐に還元されているということである。高額納税者ほど受ける恩恵は大きく、低所得者にはその恩恵は受ける術もない。振替を受ける地方自治体にとっては、例え振替額の9割を返礼品に使っても1割入ってくる。もともとゼロなのだからそれでもかまわない。日本全体では、地方税だって不足している筈なのに、こんな無駄使いをしていていいのだろうか。

  農業政策にしても、農産物の輸出で農業を活性化、とか言っているが輸出できるような農家はいいが、その他の普通の農家はどうすりゃあいいのだろう。製造業やサービス業においても同じようなことがあある。各方面で、上位数パーセントにとっては好都合な政策を進めるのはそれはそれでいいとは思うが、それだけで経済政策はうまくいっている、と喜んでいるのではなく、もっと底上げということを考えないと日本全体として格差がさらに広がることになると思うのだが。格差が更に広がっても都合の良い数字が出続ける、という状況はいずれ限界が来る。