議論のない国会

  安倍首相の狡賢さがまたしても出てきた。先日の改憲発言では、維新と公明党に秋波を送るがごとく、高等教育の無償化と9条据え置きで3項に自衛隊を書き込む、と言っていた。ところが、安倍さんが自民党に指示を出したのは、さらに、緊急事態条項を付け加えることが付いていた。

  いつものパターンだ。受けの良いことを前面に出し、自分の本当にやりたい不人気政策を、後ろに目立たないように置いておく。これで、受けの良いことだけを声高に叫んで、支持を取り付けようとする。前々回の参議院議員選挙前には消費税の増税実施の延期の賛否を問う選挙だと声高に叫び、選挙で大勝した後は、特定秘密保護法を強行突破した。昨年の参院選挙前も、G7で他の首脳から冷笑された国際経済の不安定化、を理由に消費税増税を延期し、選挙で大勝した後は、集団的自衛権憲法解釈の変更、それに伴う安保法制の改正を強行した。現在進行中の「共謀罪」法案も五輪を前面に出し、この法案が成立しないと五輪が開けない、と本来無関係の五輪を人質に見立てて成立を強行しようとしている。

  なぜ、これをやりたいんです、と真正面から提案して、議論しようとしないのだろうか。真正面からの提案は到底受け入れられない、ということを認識しているからだろう。議論をしても論理構成がきちんとしているわけでもないから、議論にならない。ましてや、安倍さん自身が議論の仕方を知らないし、出来ない性格、資質なので、徹底して議論は避けるということなのだろう。

  日本の国会は、もう議会の体を成していない、といってよい状況になっている。これでいいわけはないのだが。