外国の要人との会談の報道

  国連の特別報告者ついて、ちょっと違った視点からもう一度書いてみることにした。

  いわゆる「共謀罪」(テロ等準備罪)を含む組織的犯罪処罰法改正案が衆議院で強行議決され、参議院に送られ、参議院で審議が始まった。この共謀罪法案については、国連人権理事会の特別報告者から、懸念を表明する書簡が安倍首相に送られていた。これに対し、菅官房長官は、一方的で不適切なものだ。特別報告者という立場は独立した個人の資格で人権状況の調査報告を行う立場であり、国連の立場を反映するものではない、と批判し、政府として抗議したという。 これに対し、特別報告者側から、日本政府の抗議文は中身がなく、怒りの言葉だけだった、と疑問に対する説明が何もなかったことに驚いたようだ。

  先日、安倍首相がG7に行った時に国連事務総長との会談があり、その中で国連事務総長が、特別報告者が懸念を伝えた書簡ついて、「必ずしも国連の総意を反映するものではない」との見解を明らかにした、と報道された。一方JapnTimes紙(英字紙)は、記事の内容はほほ同じであるが、外務省によれば、と説明がついている。はたして、国連事務総長は本当にそういったのか。国連のプレスリリースに拠れば「特別報告者について、事務総長は首相に、特別報告者は国連人権理事会に直接報告をする独立した専門家であると説明しました」(原文の和訳を引用)とだけ書いてあり、日本の報道とは異なる。

  安倍さんと国連事務総長との会談が公開の場で行われたとは思えず、共同記者会見があった様子もないので、報道各社は外務省の発表に基づいて報道しているのだろう。もしそうなら、外務省によれば、とか書いてもいいのではないか。以前報道にあったように、外務省は外国要人等との会談などで、意図的にか、単なる誤訳なのかわからないが、不正確な和訳を発表することがあるようだ。今回の会談和訳も忖度して都合のいいような和訳を付け加えたのかもしれない。安倍さんを始めとする閣僚には、会談内容の英文和文両方を渡しているといいのだが。誤った和訳のままの理解では、この国を誤った方向に進めかねないのだから。

  それにしても、またしても、「特別報告者の指摘は国連またはその機関である人権理事会の見解を述べたものではなく、内容には誤解に基づくものであり受け入れがたい。」という内容の国会答弁書閣議決定したという。国際的な懸念に対し向き合わず、一方的に、自分たちの主張が正しいとの立場を崩さない姿勢で、どう国際貢献をしていこうというのだろうか。しかも、この懸念はこの先国連人権委員会に報告され、そこでの議論になっていくだろう。そこで正式に勧告でも受けたら、どう対処するつもりなのだろう。そこでも一方的な誤解に基づくものだと言い張り、拘束力があるわけではないので無視するのだろうか。せっかく国連から表明された懸念なのであるから、懸念についてよく検討し、真摯に向き合う態度が必要なのではないだろうか。