口先だけの総理大臣

  安倍首相は19日、前日の国会閉幕を受けた記者会見で、「指摘があれば都度、説明責任を果たす」と言った。何度か聞いた台詞であるが、やはり実行されないことがはっきりした。自分で発した言葉である。しかし、安倍さんにとっては想定外の、翌20日の文科省からの新文書の発表で、口先だけの、自分の言葉に責任を持たない総理大臣である、ことを証明して見せることになった。

  説明責任を求める野党からの閉会中審査には応じない、と国対委員長に言わせ、官房長官には国会のことは国会で、と言わせた。ならば自分で記者会見でも開いて説明するかと思えば、知らん顔している。ではどういう場で、説明責任を果たそうとしているのか。全くの口から出まかせの、一見反省した風を装っていただけ、ということだろう。野党は憲法の規定に基づき、臨時国会の開催を要求するようだが、期限の定めがないからと開かなかった一昨年と同様、今回も開催するつもりはないようだ。

  一方で、24日には、自分の主張に同調する団体の主催する講演会で、行政がゆがめられたとの批判に対して、時代に対応できない制度なら、その方がゆがんでいる、と全く批判に答えていない、見当違いの反論をし、今後は地域に関係なく獣医学部を新設していく、と何を言っているのか訳の分からないことを言ったという。

  相変わらず、批判されることや反論されることを嫌い、自分に同調するメディアを選んで自分の言いたいことを言っている。しかも、その内容から、はっきりと、自分の口では説明しないということが分かる。自分の言いたいことだけは言い、やりたいことはやりたいようにやる、その一方で批判や反論を恐れ、疑惑の解明には、全く消極的というより徹底して隠蔽しようとする。自身の周囲のみならず自分に異を唱える者は排除し、周囲には同調するもののみを配する。

  国政の最高責任者である総理大臣が、自分の発した言葉を言い放しで守らない、という現実は、総理大臣が日本という国を、いい加減な国にしていく先頭に立っている、ということなのだろう。国政選挙は当分なさそうだから、東京都議会議員選挙で自民党が大敗するとか、自民党内からの異論が出るとかで、現状が少しでも変わることを期待するしかないのだろうか。国民の内閣支持率の大幅な低下、というのが最も安倍さんの恐れるところだとは思うのだが。