議論のできる総理大臣が欲しい

  官製春闘と保育料の無償化と憲法改正。何の脈絡もないようなこれらの事項に共通する事がある。それは安倍首相の政権運営方法である。その本質は、議論を重ねて出てきたものではなく、思い付きのような、場当たり的な、方針を打ち出し、自身はそこから引っ込んで、党内にその内容の議論を任せてしまう、という姿勢である。

  安倍さんが経団連会長に来春闘では3%の賃上げを要請した。安倍政権は経済界に対して毎年賃上げを求める官製春闘を主導し、大手企業の賃上げ率は4年連続で2%超となっている。賃金が増えれば消費は伸びる筈、だが、消費は伸びず目論見は外れている。今年は賃上げ企業は減税する、とまで言っている。賃上げは労働者の為に言っているわけではない。何とか消費を伸ばし、景気を拡大し、アベノミクスはうまくいっている、と言いたいだけだろう。少々賃金が増えても社会保険料所得税が増えれば、手取りはそれほど増えない。さらに、年金もどうなることかとか、将来不安が大きく少々増えた給料を簡単に消費には回せないのである。将来不安があれば庶民の消費は伸びない。こうしたことをきちんと議論した結果なのだろうか。

  安倍さんは幼児保育料の無償化を打ち出した。当初出てきたのは、認可保育所の保育料 の無償化という全くお粗末なものだった。その後批判が噴出し、対象を無認可保育所にも広げることになったのだが、財源確保が難しいということで、対象範囲を決めるのは来年ということになった。何の制度設計もなく、財源も考えず、無償化すれば支持率上昇になるだろう、という読みだったのだろう。しかし、現実は保育料の無償化より、待機児童の解消の方が先だということがいまだにわかっていないようだ。前回の今年度中に待機児童をゼロにするという目標は達成不可能になり、3年先送りしたばかりである。先ずは立てた目標を達成すべきだろう。何の議論もせず、人気取りで、いきなり保育料の無償化を言い出しても、中身がなければ行き詰ってしまうのは自明である。

  安倍さんの究極の目標は憲法改正なのだろうが、唐突に打ち出し、その後は自身では何も語らず、周囲で議論し、結果的に自身の発言に結論づければいいと考えているのだろう。ここでも何の議論もないまま自分の思いだけで言い出した憲法改正。詳細は読売新聞で、というに至っては、もう議論の放棄以外の何物でもない。

  議論のできない安倍さん。その安倍さんの思い付きのような政策に、後から辻褄合わせをしている自民党。本質的な問題点お議論を置き去りにし、対症療法的人気取り政策のみで進んで行っては、日本という国はどんどんダメな国になっていく、と思いませんか。もっと堂々と議論のできる総理大臣が欲しい。