沖縄県への経済制裁?

  先日、沖縄県名護市長選が終わった。米軍普天間飛行場辺野古への移設が選挙の争点になるかと思われたが、移転に反対の稲嶺前市長に対し、移転を容認する新顔の渡具知候補は、選挙期間中にただの一度も辺野古という言葉も基地という言葉も発しなかったという。事実上の争点隠しに終始したようだ。一方、渡具知候補を推薦した自民公明両党は、地方の市長選としては異常と思えるような力の入れようであったという。安倍政権は辺野古への米軍飛行場の移設に執念を燃やしている。移設反対は絶対に許さないという姿勢をずっと貫いている。それが今回の市長選にも表れたと言えるだろう。

  沖縄県に対しては、辺野古への移設に反対だと経済制裁まがいのことをやり、容認だと経済優遇策を採る、ということを行っている。国の予算編成権は内閣にあり、承認は国会で成されるのであるが、現在の状況では予算は安倍首相の下で作成、決定されている。従って、予算の内容は内閣の方針に従って決定し、執行されるのである。その国家予算の中で、沖縄県の基地負担軽減策として振興予算は21年度まで3千億円台を確保するとの約束があるので、さすがにそれを下回ることはできないが、18年度で3010億円とする方針という。これは、辺野古移設を容認した仲井真前知事時代の14年度は3501億円だったものを、毎年削減してきたものである。

  更に、名護市在日米軍再編交付金の支給を再開するという。17年度分と18年度分として計約30億円になるという。これは、他府県の市町村でも米軍再編で関連施設などが増える市町村を対象に交付されているものではあるが、辺野古移設反対の稲嶺前市長の時には交付されなかった。

  2年程前からは、名護市の久辺3区に直接補助金を交付する枠組みを新設した。これは辺野古新基地建設に反対する名護市を介さずに、米軍との交流を目的にしたスポーツ大会や防犯灯設置、集会所の補修、改修などの為として、国から直接交付するというものであるが、法律を作ったわけではなく、全国的にも他の地区での適用はない。

  予算編成権が内閣にあるとはいえ、このような国家予算を使った利益誘導が堂々とまかり通って良いのだろうか。地方自治をないがしろにし、中央集権を強化し、政府の方針に反対は許さない、という姿勢を鮮明にした。従来も中央とのパイプを前面に出す候補者はいたが、政権が首長選で、反対すれば経済制裁が待っている、ということを前面に出して候補者を選別するようでは地方自治は死んでしまう。やってはいけない、と書いてなければ何でもやる、という姿勢の安倍内閣の下で、日本の民主主義は仮死状態になってしまっている。早く正常な状態に戻してほしいものではある。