不思議な光景

  先週朝日新聞が報じた、森友学園への国有地売却問題で、財務省の決裁文書が書き換えられた疑いがある、という報道で不思議な光景が展開されている。昨年、森友加計問題が文書のコピーと共に報じられた時には、即日、担当大臣が文書の存在を否定したり、官房長官が怪文書のようなもの、と全面否定したりした。しかし、その後続々と諸文書が見つかり公表された。

  今回は、朝日新聞の報道は、文書が書き換えられたことを確認した、としただけで文書のコピー等は公表されていない。また、1週間たっても他の報道機関からも追加情報は出ていない。完全に朝日新聞のスクープという形になっている。一方財務省側にしてみれば、書き換えがあったか無かったか、などということは当事者に聞けば即日わかること。書き換えが無かった、ということが分かれば、それでなくとも国会等で朝日新聞を名指しで攻撃してきた安倍首相などは、喜んで誤報だ、でっち上げだ、と国会で大騒ぎするはずだ。

  国会では、与野党で決裁文書を委員会に出すかどうかで揉めている。コピーを出すことになったようだが、コピーを見ても何もわからないだろう。そんなことより、政府はなんで直ぐに分かることに時間をかけているのだろう。否定できない、ということは、文書は書き換えられた、ということか。時間をかけているのは、その対応をどうするか。あったとした時に、落としどころをどうするか。無かったとした時に、朝日新聞がどう出るのか。手の内を明かしていないので、何処から何を入手したのか、何も証拠は持っていないのか、を調査中なのか。

  朝日新聞も、その後新しい事実は報じていないし、文書の写真等も公表していない。政府が書き換えはなかった、と発表した時にカウンターで何か出そうとして、出方を窺っているのか。他社の動向を窺っているのか。それとも出す材料が無いのか。よくわからない。

  報道記事を挟んで、朝日新聞と政府が互いの手の内を探りながら、間合いを計って睨み合っている感じではあるが、ボールは政府側にわたっている。この不思議な光景はいつまで続くのだろう。そして、安倍さんはどんな決断を下すのか、興味深いところである。