検察よお前もか

  日本の統治機構は壊れてしまったようだ。検察までもが安倍政権に屈してしまった。5月31日、大阪地検特捜部は財務省の公文書偽造の疑いの佐川前国税庁長官、国有地売却額の不当値引きの疑いの近畿財務局幹部らを不起訴処分にした。29日の国会で麻生財務大臣が、決裁文書改ざんは「改ざん」というような悪質なものではなく、「書き換え」の方が適切と述べていた。おそらく事前に検察から不起訴処分の連絡があったからこのような発言になったものと思われる。

  あれだけの数の公文書をあれだけの規模で改ざんしても、お咎めなしとは。また、国有地を訳の分からない大幅値引きしても、これもお咎めなしとは。今後公文書の改ざんも国有地の売却価格の操作も公然と行えることとなった。検察のお墨付きがあるのだから。

  検察までその独立性が疑われる今回の不起訴処分。安倍さんがよく言う価値観を共有する国の中で、公文書を改ざんするというような、民主主義の根本を破壊する行為に対して、何ら刑事罰を問わない、お咎めなし、というような国が日本以外にあるのだろうか。ここまで日本の司法が権力を持つ行政に支配されるとは。もう民主主義国家の体を成していない。

  大阪地検特捜部は、社会的関心が高いとし異例の記者会見を開いた。しかし、その内容は不起訴にした言い訳会見で、捜査内容についての説明はなく、記者からの質問にも回答拒否を連発した、という。不起訴にした理由も、その事実認定から不起訴に至る過程の説明が無く、不起訴にする為の説明だけであったようだ。決裁書の改竄も、結論が変わらなかったのだから嫌疑不十分という。なんだこりゃ、である。通常は決裁承認された文書は、一字でも一句でも変えたら改竄である。検察庁内部では、結論さえ変えなければ決裁承認後文書でも切り貼り自由なのだろうか。8億円の値引きも不適正とは言えないと言いながら、では適性の根拠はというと。それは示さない。これでは何を捜査していたのか、と言いたくなる。

  大阪地検特捜部は、すっかり影の薄くなった東京地検特捜部とは違うんだ、というところを見せる絶好の機会で、徹底的に政治家スキャンダルを暴いてくれるかと淡い期待を抱いていたが、もろくも崩れ去った。東京も大阪も地検特捜部はかつての、相手が権力者であろうと誰であろうと、正義に基づき、事実に忠実に真実を求める、という姿勢が失せてしまったようだ。正義の最後の砦だったのに、これで歯止めが無くなり、権力を悪用する安倍政権にとっては怖いものなし、を世に知らしめることになってしまった。

  検察のこの処分で、安倍さん、麻生さんは一時は表向き神妙な顔をするだろう。しかし、検察の判断が出ているのだから、悪質なことはしていないのだからと、事を小さく小さく見せ、自分たちの責任を軽くして辞任などは必要ない、としたいのだろう。自民党の保身を図る政治屋どもも、これで森友は終わった、と野党の追及を相手にしなくなり、後は時間の経過で世論の関心が薄れるのを待つばかり、と思っているだろう。

  この件はこのままでは終わらしてはならない。告発した方はおそらく検察審査会に対し、今回の処分の当否の審査を申立することと思われる。再び検察で、不起訴でいいのかどうか、真剣に検討し直して欲しいものである。その上で、検察審査会で起訴相当の議決が出ることを期待したい。