安倍首相は日本経済を壊すのか

  上場企業の好調な4半期決算が発表されている。一方、7月31日の金融政策決定会合の後の記者会見で、現在の金融緩和を当分の間続けるし、超低金利水準を当分の間維持する、と発表した。消費者物価指数を2年で2%上昇させる、と豪語した現行の政策の下で、5年経っても物価は0%近辺で上がらない。政策の失敗は明らかだが、政策の修正はできないし、誰も責任はとらない。

  日銀の現行政策は、その手段として大量の国債を買い入れている。これにより金利をほぼゼロに抑え込み、為替相場を円安に誘導している。また、金利負担をほぼ無くすことにより国債発行を容易にしている。その一方で、日銀が市場から国債を吸い上げることにより、民間の取引が阻害されてきている。今や発行済国債の4割強を日銀が保有するという異常事態になっている。これは、政府が如何なる言い訳をしようと、財政法で禁じられている日銀による国債引き受けだろう。

  また、ETFを使った大量の株式も買入れている。これは、業績等は無視して単に指数構成銘柄を主として買う、ということで、株式市場による経済の先見性とか、自然な価格構成とかが出来なくなっている。また、相場が下がると買う、ということを繰り返しているので、現在の価格水準が本当に適正なのか疑わしい。これらの結果、日銀のETFを通じた株式保有高が大幅に増加し、3月末時点で上場企業の約4割で上位10位以内の大株主になり、うち5社では実質的な筆頭株主になっているという。

  こうした現状から日銀は、金融緩和だけでは物価は上がらない、ということが分かっていても、政策を変更して金融緩和を止めることが出来なくなっている。金融緩和を止めるということは手持ちの国債や株式を売るということである。そうなれば、国債も株式も大幅な下落を覚悟しなければならない。アベノミクスの化けの皮が剥げる、ということである。

  だが、今後世界的な景気が後退し始めた時、欧米は現在金融緩和に向かっているので、改めての金融緩和で景気後退に対処できるが、日銀にはその選択肢が無い。手を拱いて後退する景気を見ていることになろう。

  景気後退が無くとも、いつの日か物価上昇が2%になれば、手持ちの国債や株式を売ることになる。日銀保有国債や株式を肩代わりできる投資主体があるとは思えないから、その時には国債や株式の大幅な下落を覚悟しなければならないだろう。株式相場の下落は単に株式保有者の資産価値の下落だけだが、国債の下落は金利の上昇を伴う。経済全体、勿論個人生活にも直結する問題なのである。

  現在の無限定な金融緩和は、同時に大きな時限爆弾を抱え込んでいる状況なのだ。安倍さんはアベノミクスとか言っていい気になっているが、本質は超金融緩和であり、こうしたリスクには目をつぶって、やりたい放題やっているだけである、自分が政権を握っている間は日銀の政策を動かさないように、既に日銀の政策委員は入れ替えている。このツケは誰が払うことになるのか自分は与り知らぬことと、全く気にしていない様である。

  何か問題が起こればいつものように、日銀の政策は日銀が決めていることなので政府としては関与しない、と逃げるつもりだろうが、そうはいかない。安倍さんが政権を取った時に超緩和政策を強要し、従わなければ日銀法を改正する、とまで言っている。つまり、日銀も安倍さんのコントロール下にあると言ってよいのだ。

  このまま超金融緩和を続けて、日銀はどうするつもりなのだろう。先延ばしをしている内に、当事者たる安倍さんも黒田さんも任期が来たからと、逃げ出してしまうのに。