国会無視の安倍内閣

  第二次安倍内閣になってからその横暴ぶりが目に余る状況が続いているが、今臨時国会での国会を蔑ろにする振る舞いは、その横暴ぶり極まれりと言ったところか。今国会が始まるや、人手不足は待ったなしの状況と言って、最重要法案と目される出入国管理法改正案は今国会で成立させるという方針を表明。安倍首相の外遊を理由に衆議院審議はろくな審議もせず強引に通過させた。参議院に移っても、審議内容などどうでもよいとばかりに、会期末までに成立させると、日程最優先で強引に成立させようとしている。

  この法案は、国会審議でもわかるように、中身はまだ何も決まっていない。法案名と詳細は省令で定めるという条文だけ、と言っても過言ではないような内容の法案である。野党の質問には答えが用意できなく、詳細はこれから詰める、今後検討する、実施までには省令等で定める、といった回答のオンパレードであった。

  こんなお粗末な内容だけでなく、現在運用中の技能実習生制度の調査資料についても、働かせ制度法案審議の時と同様、提出された資料がいい加減というより改竄された内容のものであった。しかも改竄隠しの為、野党の国会議員の元資料提出請求を拒否。閲覧はさせるがコピーはさせない、という状況。国会議員が2千件を超える資料を手分けして手書きで書き写すという始末。これが国会に対する政府官僚の態度かと目を疑うような行動。しかも、改竄を追及されると、再度資料を調べ直すが、結果はいつになるかわからない。法案審議に直接関係ないから法案審議は進めると、ここも強引に押し通そうとしている。

  国会でまともに内容を審議しないのはこの入管法改正案だけではない。国民生活に直結する水道法改正案も同様の経過を辿っている。水道事業の運営権を民間企業に売却できるようにする水道法改正案は、その内容は殆ど審議されず、諸外国で一旦民営化したもの、結局うまくいかず再公営化した例が多くある。それらについて野党から質されると、十分調査検討した結果だ、と答えた。しかし、厚労省が調べたのは3例のみ。公になっている事例だけでも230件以上あるというのに、そのうち3件だけ調べて、これで十分という。

  しかも、先に参議院で審議し強引に採決した後衆議院に送ったものの、衆議院では全く審議せず、いきなり委員会での採決を強行し、そのまま本会議に上程、採決を強行して成立させてしまった。毎日の生活に欠かせない命に係わる水道水である。こんな簡単に民営化の道を開いて、水メジャーの外国資本に日本人の命を預けていいのだろうか。

  この水道法については、麻生さんが米国で民営化する、と口火を切ったのが発端である。当初から胡散臭さが漂っていた。何故国会を無視し、ろくな審議もせずにこんなに急いで法律を作らなければならないか、全く分からない。

  更に漁業法改正案というのもある。従来の沿岸海域の漁業権は都道府県知事が地元漁協に一括して与えてきた。しかし改正案は、漁協の管理が適切かつ有効でないとか、漁業権が無い場合には地域の水産業の発展に寄与する企業などに免許を与える、としている。どういう状況やどういう企業を想定しているのか、ということは現時点では具体的なものは無く、ここでも今後検討していくというような答弁になっている。ここでも政令で定めることになる。

安倍さんが時々国会で、自分は立法府の長だ、と発言するのは、言い間違えではなく、自身でそう思っているから口に出るのだろう。国会を軽視しているどころではない。憲法に国権の最高機関と定めている国会を無視しているのである。国会は内閣の下請け機関で、内閣の決めたことを追認する機関と心得ているのだろう。手続き上国会の承認が必要だから存在しているので、本来国会審議など時間の無駄、国会などいらない、と思っているのだろう。

  もともと現行憲法を軽んじている安倍さんのことだから、憲法に何て書いてあるかは関係ない。自分が最高権力者なのだから、自分のやりたいようにやる。という姿勢なのだろう。しかし、日本は第2次安倍内閣の前までは、不完全とはいえ議会制民主主義を何とか機能させてきた。しかし、議論は出来ないが権力は手に入れた安倍さんによって、議論をしない、議論をさせない、というのが当たり前の国会になってしまった。議論の無い国会では議会制民主主義は機能する筈がない。