国際捕鯨委員会脱退を決定

  安倍政権は国際捕鯨委員会(IWC)脱退を決定した、という。その脱退の仕方や脱退の理由が如何にも安倍政権といえる。

  IWCは、クジラの保存と捕鯨産業の秩序ある発展を目的に発足した国際機関である。当初の目的が多少変質したとはいえ、鯨に関する国際協調を目指す場の筈である。日本は1951年に加盟し、現在に至っている。そんな国際機関から、現政権が閣議決定したからといって、国会で何ら説明することも無く、勝手に脱退を通告しても良いのだろうか。

  国会を無視するということは、国民を無視するということである。規定が無いからと言ってこんなことが平気でまかり通っても良いのだろうか。長年検討してきたとかは言い訳にもならない。安倍政権が国会無視で好き勝手していることが、こんなところにも表れている。

  しかも、近代捕鯨発祥の地であり、南極海での調査捕鯨船が鯨肉を全量水揚げしているのは山口県下関市である。和歌山県太地町は古式捕鯨発祥の地であり、イルカ漁の是非で話題になった地である。(ちなみにイルカと鯨は大きさの違いだけで、生物分類上の違いはないという。)

  下関市太地町は現首相と現自民党幹事長の地元である。政権が、国民に何の説明もなく、勝手に脱退を決めてしまうのも、そういうことか、と納得できる。

  脱退を決めた理由については、IWCは日本などの捕鯨国とオーストラリアなどの反捕鯨国との間で意見対立が続き、長年にわたり議論が膠着状況にあり前に進まない状況にあった。更に、日本は今年9月のIWC総会で資源量が豊富なクジラの商業捕鯨を再開するよう提案。だが反捕鯨国から、いかなる捕鯨も認めない、と反対多数で否決された。これにより、反捕鯨国からの歩み寄りの可能性が無いことが明らかになった。この結果、今回の決断に至った、と説明した。

  発表によると、19年6月末で脱退し、領海や排他的経済水域EEZ)での商業捕鯨を約30年ぶりに再開する。ただ、鯨の資源管理に協力する姿勢は変わらないとし、IWCの捕獲量基準を守りたいとしている、という。

  意見の相違について、相手が歩み寄らないから話し合いの場から退場する。如何にも安倍政権らしい。その間、日本がどれだけ主張の根拠を示してきたのか、どれだけの譲歩をしたのか、脱退の記者会見からは窺えなかった。国民には知らせる必要はない、ということなのか。

  商業捕鯨の必要性についても何の説明もなされていない。現在実施されている調査捕鯨から商業捕鯨に移行して捕獲量が増えても、需要がそれだけあるのか。それより、かつて商業捕鯨に携わっていた大手水産会社は完全撤退していて、再参入する意思はないようだ。

  すでに大規模商業捕鯨が再開できる状況ではなく、沿岸捕鯨を望む小規模漁師に商業捕鯨の将来性を保証した、と言えるのではないか。しかも、沿岸捕鯨の実施要望が全国的にあるとは思えない。ここにも政治的な意志が感じられる。