新型コロナはどうするの

 最近の新型コロナによる死者数は300人台後半から400人台後半で推移している。12月中旬以降の1か月間で死者数は1万人超となっているという。報道によると、現場の医療機関や往診医療従事者などの話では、医療現場はこれまでで最悪の状況という。全国各地で病床使用率も上昇し、救急車による救急搬送困難事案件数も過去最多水準という。特定疾患による死者が関連死を含めて1か月で1万人に達する疾病が他にあるのだろうか。

 それにしても、これまでのところ岸田首相から首相就任以来、日本の新型コロナ対策関連の言葉が発せられたのを聞いたことがない。経済最優先でコロナには全く関心を示さないようだ。それどころか、一昨年コロナが急拡大し失敗したGO TO トラベルの続きである全国旅行支援を推進している。政府のコロナ対策諮問機関である分科会が開かれたという話も聞かない。役に立つかどうかは別にして、尾身会長の会見は独自の会見として1度だけ聞いたような気がする。岸田さんは分科会の存在は全くの無視を決め込んでいる。だからと言って、政府としての新型コロナ対策を何か打ち出したかというと、全く何もしない。静観というより無視、という態度だ。

 岸田さんの関心の無さは、どこからきているのか。死者が増加しているものの、その95%以上が高齢者であるということから、若年層に影響がなければ経済活動に支障はきたさない、ということか。しかし、高齢者であっても国民の内ではないのか。高齢者が主だからまあいいか、という無策は政府としてどうなんだろう。この先、何かあった時、日本政府は一部国民を見放すこともある、ということを体現しているように見える。岸田さんは、この様な政府の信頼を損なうことを行っているのだ、ということを自覚しているのだろうか。この先どんな社会を目指そうとしているのだろうか。

 岸田さんは、4月には屋内のマスクも原則不要とし、また、新型コロナの感染症法上の分類を2類から5類に変更する方向で検討させるという。相変わらずその根拠は示されない。外国がそうしているから我が国も、というような外形的な理由によるものだろう。現在の感染者数の実数がどのくらいなのかは不明なのだが、現在の死者数が過去最多レベルで推移している。とても第8波が収束に向かっているとは思えない。そんな中で何故この時期に緩和方針の検討を指示するのか。岸田さんが、欧米諸国の状況に対して、マスクをしているのは我が国だけだから、5月のG7広島サミットまでに、全ての制限を解除した諸外国並みにしたいという、単なる政治的理由よるものだろう。

 何をやるにしてもその根拠を示さず、政治的理由を最優先とする。何をやるにも国民に分かるような説明がされない日本の政治。どうなる日本という感じ。