岸田政権の政策もどきは続く

 岸田首相は目玉政策として、異次元の少子化対策、子供関連予算の倍増、物価上昇率を超える賃上げの実現も掲げている。目玉とは言いながら、岸田さん自身にはどんな構想を持っているのかと思いきや、言葉だけで具体的なイメージは全くないようだ。少子化対策は「ようやく政府が本気になったと思っていただける構造を実現したい」と表明し、前政権までの少子化対策は片手間だったと批判しては見たものの、では自分はどう実現しようとしているのかには言及せず、担当大臣に3月末までに大胆なたたき台の作成を作るように丸投げ。批判だけで、自身では何も持っていないことを露呈した。

 しかも、防衛費予算増額を優先させたものの、その防衛費ですら財源探しに苦労している現状から、少子化対策に新たな財源は期待できず、財政措置なくして何か新規の政策を打ち出せるのだろうか。更に、少子化対策はこれまで自民党政権が30年近く取り組んできた課題である。それを3か月足らずで新たな政策を作ろうという、如何にも「付け焼き刃」が見え見え。異次元の対策は、異次元の焼き直し程度、にしかならないことは十分に予想できる。

 また、子供関連予算の倍増に関しても、将来的な、という枕詞は付いているとはいえ、予算倍増の時期や予算規模、その財源、施策の内容の概要、など一切明らかにされない。何も決まっていないなら、なぜ今頃中身のない政策もどきを言い出したのか。

 また、物価上昇率を超える賃上げの実現、とは言うものの、「企業収益が伸びても賃金は伸びず、トリクルダウンは起きなかった」と安倍元首相を批判し、賃金が毎年伸びる構造を作る、という。その上で、経済団体には今春闘での物価上昇率を超える賃上げを要請をし、政府も公的部門で働く労働者などで同様の賃上げの確保を目指すとしている。

 だが、そもそも賃金は労使間協議黄で決めるものだし、公務員の給与を政策的に決めることはできない。政府が直接関与でき、かつ最も有効なのは最低賃金の引上げくらい、ということになろうが、そこには言及はしない。その他賃上げのために政策的に重要なことは賃上げできる環境づくりの筈。それらに言及せず、ただ経済団体への賃金の引き上げ要請ということなら、安倍政権の二番煎じにしか過ぎない。

 岸田さんには自分の頭でしっかり考え、出来ること、できないことを明確にし、内容の伴った政策を掲げて欲しいものだ。