なんで総理大臣になったの?

 人によって、総理大臣になりたい動機は2種類あるという。ひとつは、やりたいことがある。そのために総理大臣になりたいタイプ。もうひとつは、何をするではなく、ただ総理大臣になりたい。地位に対する憧れを実現したいタイプ。

 岸田首相は何かをしたいわけではないが、総理大臣になりたかったタイプだろう。目指したい将来像がないから、確たる基本的政策が出てこない。一例は、当初宏池会創設者の池田隼人元首相の真似をして、所得倍増と言っていたが底の浅さが露呈し、間もなく撤回。資産所得倍増と言い換えたが、所得倍増とは全く別物である。

 打ち出す政策も、党内保守派や安倍派に迎合するような政策ばかりで、国会も蔑ろにするような荒っぽい進め方で進めている。独自性を打ち出そうとて出てき少子化対策など子ども予算倍増を掲げたが、結局アイデアはあるものの具体的な中身がないため、委員会を設置しそこに丸投げ。結局岸田さんは何をしたいのか、は無いまま。

 岸田さんは池田さんに憧れているのか、倍増が好きなようだ。所得倍増、防衛費倍増、子ども予算倍増と続いたが、所得倍増は資産所得倍増へ、防衛費実質倍増は強引に押し通し、子ども予算倍増は何が倍増なのかも答えられないまま。形だけ真似をしようとしても、所詮は本気度というか考えが甘すぎる。自身の政治に対する信念や理念の欠如していることを自覚すべきだろう。

 せっかく総理大臣になれたのだから、その地位を守りたいという気持ちはわからないではないが、日本国の総理大臣なのだ。地位を守るための政治ではなく、国民のための政治をしなければ。今の岸田政治は、基本的に党内外の保守派や各分野での上流階層のため政治であり、今や消滅の危機の中流階層や下層階層に対する政策はほとんどない。これらの階層に対しては、一時金の支給や場当たり的政策により中下流階層内の分断を引き起こし、その中で一部の支持を得る、という感じ。

 分断の政治は安倍元首相の得意技ではあったが、一見ソフトに見える岸田さんもやはり目立たないように分断の政治を引き継いでいる。この国をどうしたいのかを持たないこの先も岸田さんは政権維持に固執するのだろう。ますます日本は衰退の道を進むことになりそうだ。