岸田さんどうするの?

 岸田首相は、議論が好きではないようだ。というより、議論をするだけの基本的知識や確たる哲学を持たないから、議論ができないのだろう。個々の政策の為の予算の確保に議論の必要がないように、予算に巨額の予備費を確保し、やりたいことはその中から勝手に支出するという方式をとっている。岸田さんには財政民主主義という考えが全くないようだ。財政に限らず、民主主義という考え方がないのかもしれない。

 今般も追加物価高対策として予備費から2兆円超規模の支出を決めた。勿論国会は通していない。2兆円もの税金を、国会の審議もせずに支出できるほど日本の国家財政はいい加減に運用されていていいのだろうか。今回の統一地方選挙が近づいてから発表されたもので、物価高対策と称して低所得所帯に3万円配るとか、LPガス利用者の負担軽減措置、輸入小麦の売り渡し価格の上昇緩和措置などがその内訳となっている。税金を使って与党の選挙応援の為のバラマキをしているような感じである。

 また、統一地方選挙間近を意識して、子育て予算倍増についてもやっている感を出すためか、少子化対策と称して育児休暇の取得に実質手取り100%の賃金を保証するようにするとか、就労実績のない家庭でも保育所を利用できるようにするとか、児童手当の所得制限は撤廃するとかいろいろな看板は出してきたが、中身をよく見れば、裏付けとなる財源は4月以降に議論する予定、しかも開始時期や金額などは示さない。つまりやるかどうかこれから検討すると、ただそれだけの話。話半分どころかほぼゼロ。

 統一地方選がらみと言えば、自民党はLGBT理解増進法案の党内議論の統一地方選挙の後に先送りするという。党内がまとまらず、議論をすると党内が二分される恐れがあるからという。旧統一教会問題も自民党内での議論は選挙に直接影響が出るので、触れられない話で、ほとんど頬かむり状態。統一地方選挙中であってもこれらの議論を避けるべきではなく、党内のいろいろな意見を見せて、選挙民に判断を仰ぐというのが民主主義だろう。それを見せずに投票させ、終わってから議論を始めるというのでは、何のための選挙なのか。

 臨時国会が終わるのを待っていたように、安全保障関連3文書改訂の閣議決定、防衛費倍増、原発再稼働の推進、併せて原発の新増設の推進と、国家の進路を変えるような政策の転換を一気にやってしまった岸田政権。選挙前のこの辞意に、その時と全く同じ手法を繰り返すとは。自分たちの権力を維持するためなら何でもあり。それが民主的かどうかなど一切関係なし。

 岸田さんは、総理大臣になってたらやりたいことは何でもやっていい、と思っているのか、国民や国会を無視してやりたい放題をやっている。いつまでもこれを許していたら日本という国は、この先も政治的も経済的にも衰退進行まっしぐらの道を突き進むことになるのではないか。