岸田政権の怖さ

 近ごろ、岸田政権というか、岸田首相の政策決定過程に怖さを感じる。何が怖いのか。これまでの岸田さんの政策決定過程には極端な2通りの筋道がある。

 ひとつは、安全保障政策全般ではなく、その内の装備・外交政策に関する諸政策に限定。或いは、原子力発電所の新増設を含む原子炉稼働年数の延長の決定、にみられるような、だれが言い出したか、そして、どこで、だれが、どういう話をして決めたのか、まったく分からないうちに、岸田さんの独断専行の様に、国民への説明や国会での審議をしないまま、国の進む方向の大転換というべきことが閣議決定だけで決まっていく。

 もうひとつは、LGBT差別の禁止やジェンダーギャップの解消ように党内事情から本気で取り組まない項目については、もっと議論が必要だとか、少子化対策のように、本気でやる気はないが、選挙対策や支持率維持のためには必要な看板なので、形を作っ集まって、て検討はするが、その実施時期や予算などは当面明示しないで先送りするなどと、一応看板は掲げるが、先延ばしし、できるだけ実施しない方向で進める。

 政府は先ごろ、同志国(対中包囲網で共闘できそうな国か)に対し防衛装備品という名の軍備品を無償支援すると決めた。これも事前に何の説明もなく、どこから出た話で、だれが決めたのかわからないうちに決まった話のようだ。

 軍事関連で、敵対対象国への対応装備の拡大は留まるところ知らない。もはや10年前の日本とは全く別の、世界有数の軍備を持つ軍事国家になってしまうようだ。特に岸田首相になってからは安倍元首相の敷いたレールに乗って、国の進路を軍備増強路線へと大きく舵を切った。首相就任から安倍元首相狙撃事件までは何をしたいのかよくわからなかったが、以降は軍拡まっしぐら。

 各種軍拡の施策を個人か団体か知らないが、誰かが言い出し、誰かが集まって、施策を決め、それに沿って岸田さんは閣議決定し、発表する。そんな段取りで事が進んでいるように見える。その間閣僚の一部には知らされているようだが、政府自民党には詳細は知らされていないようだ。防衛費の財源問題で、自民党役員からも反発が出ていることからもわかる。

 こんな危ういレールに乗って突っ走る岸田さんを見ていると、恐怖感すら覚えてしまう。この国をどうしようという明確なビジョンを持っているのだろうか。おそらく当面の施策を遂行することしか見えていないのだろう。行きつく先は、いみじくもテレビでタモリさんが言った、新しい戦前。そこに向かっていることに気が付いていないなら、一刻も早く岸田さんには退場を願いたい。