聞く力は無かった

 総理就任当初は聞く力を売りにした岸田首相。岸田ノーとなるものを掲げ、聞いたことをこれメモしておく、とアピールしていた。しかし、メッキは直に剥がれた。岸田さんの耳には国民の声は聞こえないのか、届かない。

 岸田政治の特徴的なのは、重要な政策であっても、決定プロセスは、有識者会議を開き、閣議決定し、国会を通過させる、というもの。その間に議論の場がない。当然の如く人選の理由は非公開の有識者会議は結論ありきのアリバイ作りの為だろうし、国会で一応の審議時間はあるものの、質問にまともには答えず、如何に誤魔化すかに腐心している状況。知りたいことは知らされないままに、時間を消費させて審議終了に持ち込む。

 国会が終わってしまえば、後は勝手し放題。記者会見を行っても、会見時間は短時間に設定し、ひとりのひとつの質問に制限し再質問を禁ずる。時間切れの後の質問は文書で出して、と。こんな記者会見で、まともに知りたいことに答えようとか、分かって欲しいとか、いう気は全く感じられない。ここでも記者会見は開いたというアリバイ作り。ことあるごとに丁寧な説明が必要とか、丁寧に説明していくとか、口癖のように丁寧な説明というが、丁寧どころか何らかの説明を聞いたことがない。

 岸田内閣の政策の進め方も強引なのは何故なのか。聞く力があるなら進め方が違うだろう。原発処理水排出について、地元の理解が得られなければ進めないとしているが、方針として今今夏中には始めるとし、方針の変更はしない、としている。進め方が違うだろう。時期は理解が得られる見通し立ってから決めれば良い。先ず地元の理解最優先ではないか。

 マイナカードへの一本化で健康保険証の廃止を来年秋に行うと決めている。現在起きている問題点の解決だけでも大変なのに、一本化に伴って現場から指摘されている諸問題を事前に解決しておかなければならない。問題山積の中、走りながら考えれば良いというような甘い考えで見切り発車されては、国民生活が混乱するばかりである。

 何故国民生活に直結するような政策を、何故事前に実施環境を整備してから進めようとしないのか。そんなに焦ってどこへ行こうとしているのだろうか。国民不在の政策実施で、国民生活がどんな影響を受けるのか。そんなことも考えられずに、政権が維持できればいいでは、支持率の低下は当然の帰結だろう。