岸田政治の破綻の始まりか

 総理大臣になることが目的のまま総理大臣になり、何をしたいのかわからず、総理大臣になったらその座に長く居ることが目的になった岸田さん。その理念なき政治を続けることの限界が見えてきた。

 昨年来声高に繰り返してきた防衛費の倍増。来年度予算編成の概算要求に当たり、額は増やすが何に使うのか決めきれず、結局具体性の無い事項要求という、兎に角この額が欲しいという金額だけの要求にするようだ。もう後には引けない、最重要課題位置づけると言って、異次元と強調していた少子化対策に至っては、未だに対策の内容も中途半端なまま詰め切れず。財源もどうするか見通しが立たず、何をやってんだか、という感じ。

 選択的夫婦別姓 同性婚 LGBT 旧統一教会などの問題については、問題提起されたにも拘わらず岸田さんは知らん顔で、国会ではLGBT問題については、党に丸投げした結果、無い方がまだましだ、と言われる程の酷い法律として成立させた。その他については、国会の閉幕を待っていたように、解決しようという気配も見せず知らん顔を決め込み、問題意識を持っていないことが明らかになってしまった。

 デジタル社会のパスポートとか言って、必死になって普及させようとしているマイナンバーカード(以下マイナカード)。普及の切り札としてマイナカードと健康保険証を一体化し、健康保険証を廃止すると、法改正までして国民を脅してマイナカードを普及させようとしている。取得が任意のマイナカードに、加入が義務の健康保険証を合体させるという無理筋を通そうとしたのが影響し、それにマイナカードの種々トラブルが重なり、内閣支持率が下落。何とか挽回しようと、来秋の健康保険証の廃止を延期しようとしたが、閣内から反発を受け、身動きできない現状になってしまった。

 何の為にこれほどマイナカードに拘るのか。推進派は、ひたすら便利になると訴えるが、誰にとって便利になるのか。便利になるからと、いろいろ紐付をさせようとしているが、いろいろ紐付けられたマイナカードは、多種多様な個人情報にアクセスできる入り口である。管理する側は当然マイナンバーから各種紐付け先を認識できるだろうし、そこにアクセスできるのではないか。個人情報管理の観点から多様な個人情報へのアクセス権を1枚のカードに集約させるのは、管理する側の利点ではあっても、管理される側にとっては大いなる欠陥ではないか。

 あれもこれも行き詰ってしまった岸田さん。これからどうするつもりか。内閣支持率低迷の一助と思ったか、健康保険証の廃止については直接は言及はせず、暫定的に資格確認証の期間延長すると表明した。しかし、資格確認証と健康保険証と何が違うのか。実質的に変わらないものにまたも税金と投入するのか。そこに新たな利権を生みだそうとするのか。本質的に筋が通らない健康保険証の廃止を中止しなければ、国民の不信感は拭えないのではないか。内閣改造や党人事一審では内閣支持率回復は難しいだろう。